がんリハに関する疑義解釈

いろんな制約などもあり、なかなか広がらないがんリハ。そのうちの一つの疑問に関する疑義解釈が先月末に出ていました。
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=281785&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000090205.pdfより。
以下引用。
(問10)H007-2がん患者リハビリテーション料の施設基準にある「適切な研修」 の要件について、「リハビリテーションに関するチーム医療の観点から、同 一の医療機関から、医師、病棟においてがん患者のケアに当たる看護師、リ ハビリテーションを担当する理学療法士等がそれぞれ1名以上参加して行わ れるものである」とされているが、ある回の研修に参加した職員のうち一部 が退職した場合、当該職員と同じ日の研修に参加していた他の職員は、再度、 研修を修了する必要があるか。

(答)再度研修を修了する必要はない。施設基準の「適切な研修」の要件を満たす研修 のうち、同一日に行われたもの(Aとする。)に参加した職員のうち一部が後日欠 けても、Aの研修に参加した残りの職員は引き続き「適切な研修を修了した」もの としてよい。このような取扱いにより、
1残りの職員で引き続き施設基準を満たす場合 2残りの職員と、Aの研修とは日程や主催者等が異なる他の「適切な研修」を修
了した職員とを併せて施設基準を満たす場合 は、Aの研修に参加した残りの職員は引き続き当該診療に従事できる。
引用オシマイ。

チームでの受講が必須となっているがんリハですが、そのメンバーの一部が退職した場合に、それ以外の人の研修終了も認めないというわけのわからない解釈がこれまで巷で流れていたのが、ようやく公式に否定されました。まあ現場の状況からみて当然といえば当然のことですが、こういう当然のことさえ否定して文章を解釈する人がいるのがとっても困った所。
これががんリハ普及の追い風になるとは思えませんが、少なくとも「理不尽な逆風」は少々収まるかもしれません。

少子化対策として高齢者の地方移住を考える

日本創成会議が高齢者の移住を推進しようという政策提言をし、大々的に新聞紙上でも大々的に取り上げられました。これから急速に進行する高齢化は日本全体で起こるのではなく、東京を中心とした首都圏などの大都市の問題です。2025年問題は島根、鳥取には存在しないともいえます。(鳥取中部とか島根の大田圏域とかはすでに高齢者数もピークアウトしています)2020年の東京オリンピックで盛り上がるのは良いけれど、その後5年でどうするつもりなの?というのが正直なところ。
急場をしのぐには高齢者の移住しかないというのは、自衛隊集団的自衛権を認めるか否かよりももっと切実で、確実にやってくる「現実」です。
この政策提言について「姥捨て山」だというような論調で反対する人がたくさんいます。地方に若者を移住させる計画ならともかく、高齢者を地方に押し付けるとはけしからんというような論調です。しかし、これを実施せずに急速に進行する都市部の高齢者を誰がサポートするのかというと、実は地方から集められた若者だったりします。そして介護業界の収入は低いので、都会の高物価では子育てができず、少子化をさらに推し進める形になります。日本の特殊出生率が1.4を切って問題視されていますが、東京はそんなレベルでなくわずか1.06。日本の少子高齢化をストップさせるには、この都市部高齢者の介護人員を地方からかき集めることをストップさせるしかありません。
さらに地方では、東京で作る高齢者施設のコストの数分の1で建築可能です。同じ金を使えば2,3個余裕で作れちゃうということも。食費、家賃なども安くて済みますから、年金問題も緩和でき、高齢者を支える若年層の負担軽減し、子育て支援へ予算をシフトさせるべきでしょう。
ということで、今夏の高齢者地方移住は実は少子化対策としても有効ではないかと思ったお話でした・・・

中医協の資料を読んでみる

今日は、外来も病棟も(僕としては)忙しい一日。当直帯になり、書類も片付けてほっと一息。今日が中医協の開催日だということを思い出しました。
今日のメインメニューは「入院医療」。ターゲットは7:1病棟と地域包括ケア病棟。ついでに流れ弾が回復期リハビリテーション病棟にも飛んできているかな・・・という感じでしょうか。
最新のデータとして、7:1看護を算定している病床数は昨年秋からわずかに減少して36万3900床。2300ほど減ったという報告。前回の診療報酬改定の頃の新聞記事では5〜6万は減らすつもりだったようですから、かなりアテが外れた感じなのでしょう。次回改定ではさらなるベッド数減少へ7:1の厳格化が更に進むことが予想されます。
一方新設された地域包括ケア病棟は3万1700床。秋から7000床ほど増。同じポストアキュートを担う回復期リハ病棟が7万3000床ですが、ここまで増加するのに15年かかっていますので、それに比べるとかなりのハイスピードで病床数が増している計算になります。ただ「地域包括ケア病棟」と言いながら、入院している患者の4割は整形疾患という整形外科バックベッドとしての位置づけになっているのは前身の「亜急性期病床」の頃の名残みたいなものかもしれません。
回復期リハビリテーション病棟への「流れ弾」は、地域包括ケア病棟や、回復期リハビリテーション病棟に入院する患者に占める非経口栄養患者の割合が低いというもの。今回の診療報酬改定や国保の査定の影響で回復期リハ病棟に廃用症候群の患者が入りにくくなっていることがこの割合を下げる要因の一つになっていると感じる人は少なくないはず。あと、頑張って急性期病院が経口から食べさせられなかった患者さんをしっかり経口摂取できるようにすると、この数字が見かけ上悪くなるのは癪に障るところだったりします。そういうところをキチンと評価してほしい今日このごろ。

大田市立病院の計画が縮小

大田市立病院の新病院建設計画が変更されるというニュースが先月末、出ていました。
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20150527ddlk32040494000c.html

どういった病床をどれくらい減らすのかといった具体的な部分は記事には書かれていませんでしたので、大田市立病院のHPをチェックしてみると、「新大田市立病院建設事業に係る計画病床数(ベット数)を見直します」という記事がありました。
http://www.ohda-hp.ohda.shimane.jp/898.html
284床という現在の計画病床数も現状のベッド数から55床減となっていますが、実質的なベッド稼働数が、現状の200床に満たないことから見ると、現時点でも過剰な病床数ですから、建設費が高騰しているという状況も考えると賢明でしょう。

ただ、記事によると「委員からは「市は高齢化率が高く、法改正に準じて病床数を一律に減らしていいのか。地域の実情を踏まえるべきだ」などの批判が出た。」とのこと。大田市圏域は島根県内でも高齢化の最も進行している地域の一つです。しかし「高齢化率」は今後も上昇しますが、「高齢者数」はもう増えない地域となっています。「2025年問題」は大田市には存在せず、すでにピークを過ぎているという現状をこの「委員」さんは理解できているのか疑問。高齢化の進行で必要となってくるのは一般病床(急性期病床)ではなく、維持期(慢性期)の病床や高齢者施設です。病院を施設代わりに使う社会的入院が問題氏されて久しいにも関わらず、こういった発言がまだ出るという所というか、そういう人が新病院体制検討の委員として入っているという所に悲しさを感じずにはおれません。

神様のカルテ0

先日、Amazonでこのシリーズの新作が出ているのを見つけていました。出張の帰りにどこか本屋さんで買おうと思いつつ、時間ギリギリで本屋さんに寄る余裕もないままでした。
GW最初の休みもいつもと変わらず、ゴロゴロするだけ。午前中はiOSアップデート後イマイチ調子の悪かったiPad miniをフルリカバーしてバックアップから復元、午後一で本屋さんに出かけて買ってきました。

神様のカルテ0

神様のカルテ0

従来のストーリーの「前」のエピソード「0」という感じの本書。主人公の学生時代から研修医時代あたりが舞台になっている短篇集です。
僕らが研修医だった時代とくらべるとかなり時代が新しい分、事情の異なるところはいくつか有りますが、25年前の自分の研修医時代にちょっとだけ思いをはせつつ、一気に読みきりました。もう一度シリーズ前3作を読み直したくなりました。

明日から3日間はリウマチやさん

 今夜は当直。明日から3日間はリウマチ学会に参加予定なので3晩のお泊り準備をして今朝は出勤でした。病棟の患者さんの装具の採型に立ち会ってから出かけるので、到着するのは最初の予定より1本遅い特急になりそうです。米子から名古屋まで、陸路で4時間少々。
 リハビリテーション科に移ったのは平成12年に松江に戻ってきた時なので、今年でちょうど15年。内科医として勤務していたのが10年、そのうちリウマチやさんだったのは8年ほど。すでにリハビリテーション科としての勤務のほうが長くなっていますが、年に3日間、リウマチ学会の期間だけはリウマチ専門医に戻ります。
 関西を離れて15年、一緒に仕事をしていた方々に「まだ生きていますよ〜」とご挨拶しに行ってきます。とりあえず、引き出しの中身をひっくり返して、専門医手帳は発見しました。スマホにはJCR2015アプリをインストール済み。電池切れのリスクもあるので、iPadにもダウンロードしておいたほうが良いかも。。。

絶滅危惧種としてのリハビリテーション科

http://www.jmari.med.or.jp/download/WP337.pdf
日医総研のワーキング・ペーパーとして公表された現在の医学生のキャリアに関するアンケート調査を見てみると、今後志望する診療科として、リハビリテーション科は病理に次ぐワースト2位。数年前に行われた一番不足している医師第1位だったリハ科医は、今後もなかなか増えないようです。
今後高齢化が進行する中、必要とされる診療科だと思うのですが、どうも認知度はとっても低いのが現実です。