最近ちょっと話題の松前病院。。。

家庭医育成の世界では割と有名なこの病院で、こんな騒動が起こっているとはしりませんでした。

ネットで拾った新聞記事では、

松前病院 前事務局長の人事*院長と町、対立深刻*議会も反発*収拾の道見えず
2013.09.19 北海道新聞


 【松前】町立松前病院の人事をめぐって、木村真司院長と町、議会との間の対立が激しさを増している。

3月末で定年退職となった当時の同病院事務局長の再雇用について、その手腕を評価し好待遇の維持を求める木村院長と、規定に沿って給与減額を主張する町の交渉が事実上決裂。

その後、木村院長が自らの裁量で人事発令し、あくまで前事務局長の待遇を保障しようとしたことに議会も反発、事態収拾の道筋は見えない。(恵本俊文)

 6日の町議会決算審査特別委員会。
町立松前病院の前事務局長が担当した2012年度町病院事業会計決算は、監査委員から11項目もの付帯意見が付いたあげく、委員8人の採決でも7対1という大差で異例の決算不認定になった。

 「これが院長の言う『余人をもって替え難い人物』の仕事なのか」。
ある議員の発言が、木村院長との対立の根深さを物語る。

 問題の発端は12年春にさかのぼる。病院黒字化の中心的役割を担った前事務局長が1年後に定年を迎えるのに当たり、木村院長はその経営手腕を「余人をもって替え難い」と評価。再雇用に向け町と交渉に入った。

 交渉のポイントは再雇用後の給与をいくらに設定するかだった。
町は定年者を再雇用する際、給与を月額上限20万円と定め、現在は15万円で運用している。
これに対し、木村院長は、前事務局長が病院経営の中枢を担う重責にあり「他の施設管理などの業務とは異なる」として月額40万円を主張。
交渉がまとまらないうちに前事務局長が定年退職となる今年3月末を迎えてしまった。

 問題を複雑にしたのが、同病院が地方公営企業法の「全部適用」を導入している点。
予算執行権は町にあるが、予算編成権や人事権は「病院管理者」の木村院長に移譲されているのだ。

 町との交渉が「時間切れ」となったことで、木村院長は病院管理者の裁量で、前事務局長を非常勤嘱託員として採用する4月1日付人事を発令した。
この人事で、前事務局長は「管理者補佐」として月額40万円の給与を得ることになった。

 この人事に町は猛反発し、撤回を要請した。院長側は「非常勤嘱託員を含む病院の人事は、病院事業管理者が自由に決めることができる」(全国病院事業管理者協議会)との見解から、これを拒否。

「病院事務局長の上位やこれに準ずる人の採用には町長の同意が必要」との見解をとる町側との話し合いは平行線をたどった。
最終的に4月下旬、道保健福祉部が仲裁に入り、前事務局長を臨時職員として再雇用、給与は月額20万円とすることで表面上は決着をみた。

 ただ3月定例会で病院事務局から「これまでの経緯やバランスもあり、給与は上限20万円が妥当」との答弁を引き出した議会は、その後の木村院長の対応を厳しく批判。

同病院非常勤嘱託員に関する条例案から、前事務局長の現在の肩書である「経営アドバイザー」を削除する修正動議を可決するなど対立は先鋭化。地域医療の砦(とりで)をめぐる騒動は簡単に収まりそうにない。

町立松前病院・木村院長が辞職願*運営は 地域に動揺*「大きな病気が心配」*町や議会と対立解けず
2013.09.28 北海道新聞


松前】町立松前病院(100床、常勤医師10人)の木村真司院長(48)が27日、辞職願を石山英雄町長に提出したことで町内に動揺が広がっている。

木村院長は理由について「地域医療のよい仕組みが松前でできると思って着任したが、軌道に乗ったところで辞めることになるのは遺憾の極み」と語った。町内には、院長がいなくなることで今後の病院運営を不安視する声が広がっている。(菊池圭祐、恵本俊文)

 木村院長は2005年11月、札幌医大地域医療総合医学講座助手から着任。診療科を越え患者を診る「全科診療」を進め、若手医師を研修で受け入れるなど育成にも力を入れている。

 木村院長と町、議会は、院長と共に病院運営を担ってきた前病院事務局長の継続雇用を巡り対立。
今年4月に道保健福祉部の仲介で町と交わした、前事務局長を「経営アドバイザー」として雇用し、人事権など院長の権限を尊重するよう町に求めた覚書が履行されないとして、辞職願提出に至った。

 辞職の時期を半年先の14年3月末としたことについて、木村院長は「今後の医師確保を円滑に進めること、来年の町の各種計画を立てる時期であること」の2点を配慮したと語った。

また「医師の勤務は年度区切りが原則で、医師確保の面でもそうだ。現在研修中の医師や、これから来る研修医との約束をほごにできない」とも述べた。

 一方、辞職願を受けた町側の対応は何も決まっていない。
石山町長は「問題は出向職員だった前事務局長の人事の一点。
(継続雇用に)最大限配慮したつもりだったが理解が得られず残念。町民の動揺も心配だ」とうなだれた。

 突然の辞職願提出に、町民には驚きが広がった。町内弁天の無職糸谷和雄さん(80)は「院長が来て病院の経営状態が良くなった。
長くいてもらいたかった」。
入院家族の見舞いに訪れた町内白神の主婦近江谷泰子さん(59)は「院長はよく患者に声を掛け気さくな人。今後、大きな病気になったら木古内江差まで通うことになるかもしれない」と不安を語った。

 一方で、町内松城の会社社長金子幸弘さん(54)は「辞表を出すならすぐ辞めるべきだ。
今までの議会との問題も院長と事務局長の側に原因がある。撤退による実質的な町民の損失は低いのでは」と話した。

*大きな財産失った

 吉川修身・函館市病院局長(病院事業管理者)の話 松前は地域医療のモデルケースだった。
お金をかけずに教育を徹底することで若い医師を集めるという手法を木村院長が実践し、やっと実を結んだところだったのに、残念だ。
松前は大きな財産を失った。函館や木古内など道南のほかの病院にも影響が出るだろう。

*木村院長と町、町議会との経過

 2012年春 院長と町が病院事務局長(当時)の継続雇用について協議開始

   10・1 院長が病院事業管理者に就任

13年3・31 前事務局長が定年退職。院長が非常勤嘱託員の辞令交付

   4・15 町、採用撤回を求める指示書

   4・23 道保健福祉部の仲裁で町長と院長が覚書を交わす

   6・21 定例会で、役場OBの事務職員も非常勤嘱託員として再雇用できるとする条例案を否決

    9・7 定例会で、2012年度病院事業会計決算を不認定

    9・9 町病院事業職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案に対し、前事務局長の現在の肩書「経営アドバイザー」を削除した修正動議が可決

   9・27 院長が町長に辞職願を提出

優秀な医師の下に研修医が集まって来ていたのに、市長がバカで病院そのものが消えてしまったなんていう話が昔、舞鶴でありましたが、歴史は繰り返すというか、なんというか・・・
公立病院の経営改革のなかで一番最初に行われることの一つが、全部適用っていう奴で、これをこの松前病院というところも行っているわけです。

一応、メリットとして、
(1)管理者の権限と責任が明確になる
(2)病院事業管理者が組織、人事、予算、契約等について独立した権限を有することで柔軟な経営を行うことができる
(3)意思決定、事務手続の迅速化を図ることができる

っていうことになっているのですから、たかが前事務局長の人事くらいは余裕で病院事業管理者である院長の専決事項だと思うのですが、この町では違うようで・・・あるいはこの「全適」っていうやつがなんのメリットも実はないということの照明だったりして・・・