朝日新聞は嚥下機能の回復の見込みのない患者さんは「死んだほうがよい」と思っているらしい。

前にネットでちょこっと読んで、腹が立ったけれど、それがどこにあったか見つけられなくなって、もっと原が立っていたニュース。
その全文を見つけました。
まずは全文を引用。

胃ろう、回復見込めない人に6割 研究機関、情報分析 本来は一時的な栄養補給手段(朝日新聞9・13)
 

口から食べられなくなったお年寄りらの胃に直接栄養を送る胃ろう。

本来、回復する見込みのある人への一時的な栄養補給手段だが、実際には約6割で回復の可能性がない人につけられていることが、医療経済研究機構の調査でわかった。
 
厚生労働省補助金を受けて、昨年12月〜今年1月、全国約800の病院、約1360の介護施設から回答を得て分析した。

胃ろうにした1467人の患者情報が集まった。約2千人の家族から回答があった。
 
胃ろうをつけた時点で将来、口から食べるよう回復する可能性があったのは24%で、可能性なしは59%を占めた。
つけた後にはのみ込みの訓練が必要だが、訓練を受けた患者は全体の49%にとどまった。
 
胃ろうにした時に困ったことを家族に聞くと、「本人の気持ちがわからなかった」が55%、「時間的余裕がなかった」が31%。胃ろうにしてよかったことは、「生きていてうれしい」が63%、良くないことは「本人が幸せかわからない」が59%だった。
 
胃ろうなどの人工栄養について、日本老年医学会が昨年、苦痛が増えるなど患者の人生に有益でないと判断される場合には、差し控えや中止も選択肢とする指針をまとめている。
 
調査を担当した飯島節・国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局長は「後先考えずに胃ろうにするのは問題だ。
回復の見込みがある場合につけ、適切なリハビリをするという正しい使い方をしてほしい」と話す。(辻外記子)

引用終わり


胃ろうを造設した後も経口摂取を目指すリハビリを継続するのは我々回復期リハビリテーションの仕事をしている人間にとっては当然のこと。しかし、全ての患者さんの嚥下障害を改善できて、経口摂取が可能になるなんてことはありません。何割かの人は食事を口から摂ることができないままとなります。
こういった患者さんにたいして、食事ができないのであればもう生きる必要はないというのがどうやら添加の朝日新聞の記者さんのご意見のようです。老年医学会の言っている内容を意図的に捻じ曲げて、まるで老年医学会が嚥下機能の回復が見込めない人は胃ろうを中止しろと言っているかのように文章をまとめています。文章のプロとして高給をもらっている人間がやったということまで考えると、はっきり言って犯罪レベルです。

北欧などの視察から帰ってこられた先生方の話を聞くと、彼の地では、こういった自分で食事をとることができない患者さんは本当に経管栄養せずに天寿を全うされるとのことです。こういった国の死生観からすると、自分で食事をとれなくなった時点で神様のお迎えがきたということのようだという話です。日本の国内でもそういうふうにすると決めるのであれば、そのようにしますが、それはつまり、「食事を取れなくなったら死ね」という意味ですが、そこまで言い切って、戦う勇気をもってこの記事を書いているようには到底思えない根性なしな感じがいわゆる行間からにじみ出てくるような記事です。さてこの署名記事の「辻外記子」さんはどれくらいの気持ちでこの記事を書いているのか。

とむちゃくちゃ腹を立てた記事が見つかってちょっと良かった?、水曜日の午後でした。