リハビリ専門病院の電子カルテの必要性について考える2

これまでの病院で使用してきた電子カルテの構造は、急性期病院の業務のフローに基づいて設計されているとおもいます。基本的にすべての仕事のスタートは「医師の指示」からスタートし、医師の指示を迅速に正確に各部門に伝達し、正確に実施可能とすることが設計の基本となっています。医師から看護師、医師から薬剤師、医師から検査、医師から放射線、医師からリハビリ・・・。縦の線を確実にしていくことが重視されていると感じてきました。
リハビリテーション病院でも、医師が注射や薬の処方もしますし、検査やXpのオーダーも行いますが、その数は一般病院時代とは比べ物にならないほど少ないものです。薬はほとんど定期処方+α、検査も月に1回。Xpなんて下手すると入院時のみという患者さんもいたりします。
そんなうちの病院での情報共有の重要性は「縦」ではなくて「横」。現代の医療は専門分化させ、一人の患者さんを臓器別、疾患別に診療していくことが推し進められてきていますが、リハビリテーション医療はこれら「縦割り」となっている医療を横につなぐことを目指した医療分野と言えます。医師からの「縦の指示」だけでなく、他のスタッフがどういった医療を行い、みんなで目指していくのかという目標を共有していくための「横の連携」が必要とされています。
今でも入院時から繰り返し行う合同カンファレンス、朝夕のミーティング、各部門での情報伝達、記録の共有、各種報告書など様々な方法を用いて、この「横の連携」の充実を目指しており、かなりの労力をそこに費やしています。回復期リハビリテーション病院の目的はADLの改善と在宅復帰であると定義されていますが、それは単に疾患のコントロールや機能回復だけでは実現できず、家族背景や住環境まで含めた対策を要しますし、その情報の流れは医師からコメディカルスタッフへという一方向性のものではなく、また各スタッフから医師への報告だけでは不十分です。
リハビリテーション専門病院における電子カルテとして重要なポイントの一つ目は、患者さんをサポートする全職種が互いに情報共有することをサポートすることが容易に可能かどうかだと考えます。