リハビリ専門病院の電子カルテの必要性について考える1

振り返ってみると、大阪の病院の時も、松江日赤時代も、オーダリングシステムや電子カルテ導入の委員をしていました。その前に仕事をしていた大学病院も含め、全て急性期を中心とした総合病院であるのに対して、今回電子カルテ導入を目指しているうちの病院はリハビリ病院。それも回復期リハ専門というかなり特殊な立ち位置の病院です。病院のIT化の中でもっとも普及しているのは医事コンピュータで、ついでオーダリング、電子カルテは大病院はともかくとして我々のような中小病院ではまだまだという状況です。医事(診療報酬請求)の電子化は、業務改善に直結し、経営上も大きなメリットがあり、さらにレセプトのオンライン請求の時代が来る中、必須とも言えるのに対して、電子カルテはその導入にかかる経費と比較して得られるメリットはどれだけなのかがはっきりしません。電子カルテ導入により、大病院では10億近い導入費がかかり、年間保守費用も1億以上かかると言われています。それによって得られるメリットが「字の汚い医者のカルテが読みやすくなる」だけでは悲しくなりますし、導入に伴って紙のカルテで診察していた時よりも診察可能な患者数が減少し、医者の時間外労働が増え、PC入力が苦手なDrの代わりに代行入力するクラークさんを雇用して人件費も増加・・・などという馬鹿馬鹿しい話がアチラコチラに転がっています。
当院の電子カルテ導入で何を目指していくのかを明確化しないと、ただ大金をドブに捨てるだけにしかなりません。少なくとも電子カルテが入って「仕事が楽になった」「患者さんの様子がわかりやすくなった」「ムダな時間外が減った」「経営状況が把握しやすくなった」などどんなものでも良いので、目に見える形での成果を出さなければならないと思います。