その後の停滞、おしどりネット参加。

すぐに出ると思っていた地域医療再生基金による電子カルテ補助金がそのままとなったために一度(個人的に)盛り上がった電子カルテ導入はいったん小休止となりました。学会での展示を見たりしつつ情報収集を継続。この間に鳥大との電子カルテの地域連携システム「おしどりネット」に参加したり(うちからは大学の電子カルテを見るだけ)、地域連携パスの統一とか雑用をこなしつつ、雌伏の時期が約1年半。
おしどりネットhttp://www.hosp.med.tottori-u.ac.jp/oshidori/は、電子カルテをお互いの病院で相互参照するためのシステムです。デジタル化された医療情報を活用していくための一つの方法として地域連携型の電子カルテというものが各地で作られているのですが、そのうちの一つのアイデアです。
その仕組みはシンクライアントシステムを用いたカルテ参照システムで、当院からは通常のインターネット回線を用いてソフトウェアVPNで大学の中間サーバーへと接続、認証を受けた上で電子カルテにアクセス可能となります。他地域のシステムと比較しての大きなアドバンテージは、基本的に電子カルテからアクセスできる情報の全てを閲覧可能なこと。通常のこういった地域連携型の電子カルテでは画像情報、検査データ、処方内容、診療情報提供書などに限られるものが多いのですが、おしどりネットは、ネットワーク経由で電子カルテそのものにアクセスして自ら操作することで情報を得られるので、上記の検査データや画像はもちろんのこと、医師や看護師のカルテ記録、看護記録からリハの実施状況、各種評価、熱型表までが閲覧可能となっています。
逆に欠点は、その病院の電子カルテ操作を習熟しなければならないということ。今年拡張され、「おしどりネット2」へとバージョンアップを果たし、1対1のネットワークから多対多のネットワークへと進歩したのですが、新しく閲覧可能になった西伯病院や日南病院のカルテを見るには、富士通電子カルテや日立メディコの電子カルテの操作方法を習熟する必要が出てきます。異なるベンダー間でも接続可能とするというメリットが逆に仇となる可能性がこのシステムの辛い所。とはいえ、今のところ大学病院以外の参加病院からの紹介患者は「0」なので、実用上は問題が起きていませんが・・・