褥瘡治療に必要な薬剤はなにか、とか考える今日このごろ。

診療報酬改定で、回復期リハビリテーション病棟1という基準をクリアするためには、入院時に「重症度、医療看護必要度A項目1点以上」という患者さんが1割以上という基準があります。昨年度までの看護必要度ではこのA項目の中に「血圧測定1日5回以上」とか、喀痰吸引などが含まれていましたが、今改定で削除されました。実質回復期リハビリテーション病院に転院してこられる患者さんが算定可能なA項目に占める創傷処置、褥瘡処置の重要性は大きく高まりました。
ということで、褥瘡持ちの患者さんを受け入れようとする回復期リハビリテーション病院は今後増加する可能性が高くなってくるかもしれない、とか妄想しています。
最近気になるのが、この転院してこられる患者さんの褥瘡処置。カデックスとプロスタンディン軟膏とフィブラストスプレーなんてものを持参薬として持ってこられるのが、最近よくあるパターン。さすがにゲンタシン軟膏を塗りたくられてくる人は減ってきました。このうち、カデックスってヤツを塗られるとかなり痛いようです。このカデックスを塗られてやってきたガーゼを外すと、創傷から水分を吸い取ってしまって創表面が乾燥してしまっているのをしばしば目にします。その下で創傷治癒は全く見られていないのが困ったこと。急性期の看護師さんのカルテ記録(地域連携システムで急性期のカルテが参照できる)を見てみると「改善傾向」なんて書いてあるのですが、電子カルテの記載を遡ってみていくと、入院時より退院時(うちに転院してこられる直前)の方が褥瘡のサイズがデカくなってる・・・なんてことも。当院転院後、全部使用を中止して、湿潤環境を保つように創傷被覆材を使用していたら、一気に傷が縮小してきていました。
カデックスは1本3000円、プロスタンディン軟膏も1500円、フィブラストスプレーに至っては1万円以上という高価なモノで、すべての薬剤が入院費に包括化される回復期では使用は難しい薬ばかりですが、少なくともこの患者さんには有効ではなかったようです。