リハ医療の今後のことをいろいろ考えた2日間(その2)

入院料1にのみ認められることになった「体制強化加算」
医師と社会福祉士の専従配置がその要件なのですが、以前にあった医師の専従と比べ、はるかに厳しい基準となっていました。
(少しずつ情報としてはキャッチしていましたが・・・)
基準に関する情報としては、
外来・訪問診療一切ダメで、病棟のみ
週5日勤務(週4日という人はダメ)
リハ医療3年の経験は、リハビリテーション科で3年以上。整形外科、神経内科など他科との兼任は認めない
など。
この中で、なによりも大きいのが「外来・訪問診療一切ダメで、病棟のみ」ということ。自分が入院中に診療した患者さんのフォローアップの外来もできません。完全に病棟業務以外から隔絶という恐ろしい規定です。一時流れてきていた「当直もダメ」というとんでもない話はデマだったようで、これはOKということのようです。
たしかに現在の「専任」という基準では週に5日外来している医師がいたりするようなので、専従配置については以前の形に戻すことは妥当とは思っていましたが、さすがにこの専従要件は厳しいです。
今回の改定のテーマの一つが患者さんの在宅復帰、地域包括ケアへの医療からのサポート体制の充実の筈。回復期リハ病棟は入院医療から在宅復帰へ大きな役割を果たしてきていると思っています。この病院と地域をつなぐ重要な役割を果たしているはずの回復期リハ病棟の医師が在宅患者とのチャンネルを全く持たないという体制が本当に正しいものなのか、甚だ疑問に感じています。今回の改定でも各病院に対して介護保険サービスの併設を要求しています。(介護保険サービスのリハを提供していなければ減算になる)講演された厚労省の宇都宮課長も医療介護複合型のサービス提供体制を推進することを強調されていました。にもかかわらず、病棟から一切出ず、地域と完全に隔絶した「回復期リハ専従」を強要するのは、矛盾しているような。
今、全国の回復期リハ病棟では、回復期リハしかしらないセラピストが急増し、在宅生活について考えることができないスタッフの増加に悩んでいるという話をよく耳にします。医師についても全身を管理できない「専門医」ばかりが増加しているということに対して問題視することが増えてきました。そういった中、リハの中でも回復期に特化した医師を作ることはまた新たな形の「専門バカ」の養成にならないかと危惧したりします。自分自身が回復期リハ病棟だけでなく、通所リハや訪問リハで在宅患者さんのフォローアップをしていく中で得た知識や経験の重要性を実感していますし、回復期での仕事にも大きな影響を与えていると感じています。医療介護全体を見渡し、全人的なフォローのできるリハ医を育てる道をわざわざ潰すような政策になっている気がしてなりませんでした。