日医総研の 都道府県別・二次医療圏データ集を見ながら考えてみる。

昨日の大田市立病院新病院建設関連のエントリーの続編。
今後の医療需要予測なんてものを見ながら今後必要な病院機能が見えてくるはずです。参考にしたのは、http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=519
日医総研の都道府県別・二次医療圏データ集。
この島根県のデータから引用すると、大田医療圏については、

(大田)
大田の高齢化率は 37%、日本で最も高齢化が進んだ地域の一つである。人口約 6 万人、面 積 1,245/km²、人口密度は約 50 人/km²の過疎型二次医療圏である。1,000 km²を超える医療圏であ り、人口密度も 100 人/km²以下であり、拠点病院までの移送が大変な地域を抱える。この地域 には大田市立病院があるが、出雲と浜田への依存度が高い。
人口当たりの総病床数の偏差値は 50(一般病床 49、療養病床 50、精神病床 51)、総医師 数が 45(病院勤務医数 39、診療所医師 58)、総看護師数 49、全身麻酔数 32 と,医療資源が 全般的に少なく、診療所による医療提供の比率が極めて高い。
2010→40 年の 0-64 歳の医療需要が 47%減、75 歳以上の医療需要が 21%減することを考 えると、地域内の医療機関の集約と地域内ネットワークの強化必要があるだろう。また出雲 からの支援の強化や、出雲、浜田との連携の強化することにより医療機能を維持することが 求められる。


となっています。この中で注目すべきところは、全年齢層で医療需要が減少する地域であるということ。日本全体では今後急増すると言われている75歳以上の医療需要さえ21%減という恐ろしい数字がここにあります。基本的にこの地域の医療資源を他の医療圏の患者さんが利用するということは考えにくい(むしろ、この地域の医療需要の何割かは、出雲または浜田医療圏の医療機関を受診する)ですから、まともに考えれば、この地域の医療機関の収益が今後大幅に伸びるという可能性はありません。昔のように診療報酬がドンドンアップするなんていうことはありえず、同じことをしていたら下げられると考えるほうが自然な現在の情勢です。計画にある1.7倍の収入なんて絶対に不可能な数字でしょう。そんな中で100億を超える豪華病院を建設するセンスがよくわかりません。100億の投資の帳尻を合わせるために作られた「収入目標」という名の幻なのでは・・・