今日の中医協はリハ

個人的には最重要項目となるリハビリテーションに関する論議が今日の中医協では論議されるようです。
いつものように8時30分にアップされる、中医協の資料。今日はリハと有床診療所と調剤薬局というあたりが論議されるようです。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031309.pdf
リハビリテーションについての論議の項目は以下のとおり。

1.早期リハビリテーションの充実
 1)急性期病棟(7対1病棟、10対1病棟)における入院中 のADL低下の防止
 2)外来のリハビリテーションにおける初期加算、早期加算
 3)運動器リハビリテーションの外来への早期移行
2.回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し
3.廃用症候群の評価の見直し
4.維持期リハビリテーションについて

まずは早期リハの充実ですが、急性期病棟へのセラピストの配置に対しての加算がもっとも大きな話題になると思われます。論点として挙げられているのは2項目。
◯ADLの低下防止を目的として、リハビリテーションの設備と人材を有する医療機関において、循環器系の疾患、新生物、
消化器系の疾患等の患者が多く、65歳以上の患者が●割以上の急性期病棟(7対1、10対1病棟)に理学療法士等 のリハビリテーションの専門職を配置した場合の評価についてどのように考えるか。
◯また、リハビリテーションの専門職を配置した病棟(7対1、10対1病棟)では、例えば「入院時に比べ退院時にADLが 低下した者の割合が●%以下」等の具体的数値目標を評価の要件とすることについて、どのように考えるか。

まず、算定可能な病棟は7:1と10:1の急性期病棟であって、循環器、ガン(主には外科?)、消化器系の病棟で高齢者比率が高い病棟にPT等を配置するとなっています。さらにはその評価要件として、入院時に比べて退院時のADLが低下した患者さんの割合が低いことが求められています。

配置、という言葉の意味をまず吟味する必要があります。この病棟配置が専従なのか、専任なのか。またこの配置するセラピストが疾患別リハビリの専従療法士との兼任が認められるか否か。これまでの流れを考えると、少なくとも疾患別リハの専従セラピストとの兼任は認められない可能性が高いと思います。(回復期病棟の専従などの扱いからみて)複数の病棟を持つ急性期病院で、この点数を適切に得ていくには、それぞれの病棟に専従の療法士配置をすることを考えないとなりませんから、定員ギリギリでリハを行っている病院ではまったく対応できない可能性がありそうです。
また、その算定を検討する病棟を考えてみると、一般的な外科予定手術しか行っていない病棟では2番めの項目を満たすのが難しくなる可能性は否定できません。予定手術の患者さんは入院時のADLは自立が基本て、退院時にはそれを下回ることはあっても上回ることはないです。これが、脳卒中の病棟であれば、入院時のADLが最も低くなり、ある一定程度改善して退院する形となりやすいのですが、今回脳卒中についてはこの対象とはなっていないのが興味深いところです。

2),3)については入院時にのみ算定可能であった早期加算や運動器リハ1の点数を外来でも算定可能とするというもの。これがどれくらいの影響があるかは不明ですが、整形外科系のリハ点数を外来で取っている病院ではプラスになると予想されます。

つづいて回復期リハ病棟。しかし、毎回のように点数の見直しがあり、正直な所、今回くらいはのんびり出来ないかと思っていましたが、そんなに甘くはないようです。
今回の改定の主眼は、回復期リハ1の基準の変更に集中しているようです。論点は以下の2項目。
○ 患者の早期機能回復、早期退院を促すため、 回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟において、病棟への専従の医師配置、病棟への専従の社会福祉士の 配置を行った場合の評価について、どのように考えるか。
○ 回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟において、リハビリテーション 充実のため、休日リハビリテーション提供体制加算を包括し要件とすることについて、 どのように考えるか。

一つ目が、回復期リハ病棟に久しぶりに戻ってきた病棟専従医師配置。H20年の改定で専任となり、基準が緩和されていましたが、これが再び専従要件に戻すということ。回復期リハ2,3に関しては記載がないのでこれらについては、従来通りの専任配置でよいということでしょう。また前回改定で組み込まれた社会福祉士等の専任が今回から専従へとアップされそうです。また「等」が外れているので、これまでOKであった社会福祉士でないMSWが今回は認められないということになりそうです。
この2つの要件ですが、専任でよいということで比較的容易に作られた回復期リハ病棟ですが、少なくとも最上位基準については専従であることを要件に加えるということに。専従となった場合には、以前と同様の制限が復活すると予想されます。他病棟患者の主治医になれなかったり、外来や手術単位の制限が加わったり、疾患別リハの専任医師との兼任ができなくなるなどの制限が以前にはありました。急性期病棟との併設の回復期リハ病棟などで急性期のリハも診る必要のあるリハ医には厳しくなるかもしれません。
社会福祉士についても同様で、回復期のみしかおこなっていない病院では実質現状に近いままでも対応可能となりそうですが、急性期病院には退院調整加算とか社会福祉士の存在が算定要件となっている加算が幾つかあり、これまでなら同じ社会福祉士の名前でOKであったものが、専従となることでハードルが一段上げられることになるかもしれません。また仕事内容の制限がどのように加わるのかを見ていく必要があります。入院前の患者さんへの対応や退院後のフォローアップなどの地域連携業務をどこまで専従配置のMSWのに認めるのかは今後注視していく必要のある分野です。
休日加算については、これまで最も上位基準である回復期リハ1を算定しながら、日曜祝日のリハを実施していない病院が現在約3割存在していますので、これらの病院では、休日リハを開始しないといけなくなります。現在全体の1/3の病棟が回復期リハ1を算定していますが、このままではそのうちの1/3は算定できなくなってしまう計算ですが、きっとなんとかするでしょう。

この2年間数々のデータを集積してきた廃用症候群に対するリハにもしっかりメスが入る気配。論点として書かれているのは以下のこと。
○そもそも廃用症候群はその予防が重要であること、また、廃用症候群以外のリハビリテーション料を算定することが可能な場合は、当該リハビリテーション料を算定するべきであることから、廃用症候群に対するリハビリテーションを実施する場合には、それ以外のリハビリテーション料が適用にならない理由の記載欄を 評価表や実績報告書に設け、その適用を厳格化することについてどのように考えるか。

都道府県によっては先取りする形で強烈な査定が行われているという話も聞きますが、今回他の疾患別リハへの誘導を明らかに狙っていると思われるアンケートが行われ、その結果が資料として出てきています。なんでもかんでも廃用症候群というリハ算定はアウトですよ、というお話です。
今思いついた疑問は回復期リハ病棟へ「廃用」での受け入れについては、この「疾患別リハ算定」とは別個に考えて良いのか否か。急性期病院で呼吸器リハを受けていた肺炎後の患者さんは回復期リハの対象となるのか、受け入れた後、回復期の病院は呼吸器リハでの算定が必要なのか、それとも「廃用」で良いのか。このあたりが個人的には気になるところだったりします。しかし新規の脳血管リハ開始患者の100%が廃用だった病院なんてのが存在しているのはある意味恐ろしい話で・・・・

維持期についてもっとも重要だったのが、13単位が維持されるかどうかでしたが、どうやら継続が決まりそうです。もっともその点数がどうなるのかは不明ですが・・・まずは切り捨ては出来なかったということですね。