機能の中医協、回復期リハビリテーション病棟にはどういう影響が考えられるのか

今年の中医協でまったく語られることのない、回復期リハビリテーション病棟。このまま行くと毎回の改定のたびに右往左往していたのとは打って変わって平和な春を迎えられるのかも・・・などと期待してしまいますが、基本的に急性期からの患者紹介によって成り立つのが回復期ですので、急性期に大きな波がおこれば、その余波が回復期に伝わってくるのは必然といえます。また、お隣さんというか、ポストアキュートの医療を担っている亜急性期病棟(これからは病棟単位?!)が厚労省の目論見通りに拡大するとすれば、従来は回復期リハ病棟にやってくるはずだった患者さんの一部が亜急性期病棟に流れていくことも想定すべきです。こういった患者さんの流れの変化が起こる可能性も含めて戦略を立てる必要が出てくるのは間違いなさそうです。

今回の資料を読んでいるうちに、こういった「戦略」面ではないもっと瑣末なことだけれど、回復期リハに影響を与えそうなことを見つけてしまいました。それは「看護必要度」の変更。今回の改定で、看護必要度のA項目を大幅に変更する事を検討しているようですが、回復期リハ病棟1の基準にはこのA項目を満たす患者15%以上というものがあります。今回削除されるものの中には、褥瘡処置、喀痰吸引などの項目が挙げられていますが、回復期リハビリテーション病棟に転院してくる患者層で、A項目1点以上となっている患者さんの多くが、この創傷処置の項目と呼吸ケアの項目。輸液ポンプや3本以上の輸液ルートや輸血、血液製剤使用などの項目が「あり」になるような患者さんが回復期リハ病棟に転院してくることは常識的には考えにくいです。つまり、今回の改定で回復期リハ病棟が算定すべきA項目が大幅に削減されてしまったということになります。うちの病棟で考えてみると残るのはCPAPなどの人工呼吸器使用者、在宅酸素療法をもともと行なっていた患者さん、リウマチや膠原病を既往に持っていて免疫抑制剤を服用していた患者さん、術後の創が離開したまま転院してきた患者さんくらいで、本当に看護師の負担の大きい四肢麻痺、頚椎損傷、気管切開、経管栄養などの患者さんが除外されてしまいそうです。

今回の改定の目的が「急性期病床に入院すべき患者を選別する」という目的で項目が選択されたということや、そもそも元々ICUやHCUの看護必要度測定のために作られた基準を回復期の重症の指標として使ったこと自体が間違っていることも踏まえると、今回のA項目組み換えをきっかけに回復期リハ病棟の「重症基準」そのものを変更する必要性があるのではと感じました。

この辺りはしっかりと厚労省の立案を担当する人にアピールしておかないとヤバイ気がするなあ・・・