昨日の中医協 急性期病床関連

昨日開かれた、中医協、診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会 中間とりまとめ(案)の資料をざっと読んでみました。今回の改定は、病院機能分化へ向け、前回改定から始まった流れをさらに推し進めようとするものとなりそうです。
まずは急性期病床関連。基本は前回の会議と同様。

1.平均在院日数に関連する項目
7:1看護をとるためには看護師さんの配置の他に平均在院日数や看護必要度などの項目を満たす必要がありますが、この平均在院日数をカウントする患者さんの対象を変更するというもの。変更の対象となるのは短い方と、長い方の両方。短い方は、短期手術や検査入院といった2,3日での退院が見込めるものを除外するというもので、長い方はこれまで特定除外として平均在院日数対象外として良かった3ヶ月超の入院患者さんをこちらは平均在院日数の対象に組み込むことに。平均在院日数として、全体では1から2日くらいの影響が出そうな試算のようですが、病院ごとにその影響は大きく異なってくるのは確実。入院患者の2割以上が特定除外患者であったような病院や、現行の基準でギリギリだったところは、ほぼ確実に平均在院日数の基準が守れなくなるでしょう。

2.看護必要度に関する項目
急性期と療養型で看護必要度の重症度が逆転している項目を削って、急性期に多い項目を追加するという荒業で、この部分をいじってくるようです。しかし今回削除対象になっている項目には、急性期病院でもよくカウントされている項目が。
具体的な削除対象は、
(ア) 時間尿測定及び血圧測定については、項目から削除すること、
(イ) 創傷処置については褥瘡の処置を定義から外すこと、
(ウ) 呼吸ケアについては痰の吸引を定義から外すこと、
これらの項目を変更すると、急性期病院でも、現在の15%以上という急性期の基準自体もクリアが困難になる可能性がでてきます。前回10%から15%に上げたこの重症患者比率がどうなるのかも注目すべきポイントです。

代わりに追加される項目として、
(エ) 7対1入院基本料を算定する病棟において該当割合の高い、抗悪性腫瘍剤の内服、麻薬の内服・貼付、抗血栓塞栓薬の持続点滴、計画に基づいた 10 分間以上の指導、計画に基づいた 10 分間以上の意思決定支援を、定義を明確にした上で、A項目に追加すること、
となっています。

3.その他の指標として、
DPCデータ提出、在宅復帰率(回復期や亜急性を含む)、早期リハビリテーションの実施といった項目も。
しかし、この文章の中に「リハビリテーションの実施に より、入院期間が長期化してしまうことのないような規定を設けた上で、評価することを検討する必要がある。」などという馬鹿げた一文が。まだ「リハビリのせいで入院が伸びる」とか思っている人たちが会議のメンバーや厚労省の担当者に含まれているんでしょうか・・・前回の会議資料に含まれていた手術件数とか全身麻酔の件数とかは削られたようです。


今回の診療報酬改定で、7:1看護の病床=急性期病院というメッセージを強く打ち出してきたことは間違いなさそうです。自分たちは急性期だとどんなに言い張っても、内容が伴わなければ、その場所から退場せよ、というこのメッセージをどう聞くのか、そして自分たちの立ち位置を把握するのか、きちんと見定めることが必要です。民主党政権下の診療報酬改定や地域医療再生基金などのバラマキで、不十分な改革のままでも生き延びた中途半端な公立病院にこの改定の嵐を受け止める力があるのか・・・要注目の半年間が続きます。