ツッコミどころ満載の「大学教授の調査」というニュース

将来の医師の偏在をどうするか・・・というのは日本の大きな課題です。それを人口動態と現在の病院数から推測するというのが、「大学教授」の調査・研究で、新聞記事になるようなスゴイものだとは知りませんでした。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013010902000222.htmlより。
この先生の調査で将来勤務医が「余る」と予測されている地域をみていくとかなり笑えます。そのリストに並んでいる中には北海道の空知とか青森の津軽、秋田、島根、鳥取などの過疎地が並んでいます。確かにこの地域の人口は急速に減少していくでしょうが、それに伴って勤務医も減ることが推測される地域。なんでこんな推計になったかと、前提条件をみてみると「一〇年時点の勤務医数や将来の人口増減率、医療需要の予想数値などを用いて調査。現在ある病院が存続する前提で、開業医数は考慮していない。」んだそうです。開業医数を考慮しないってなんじゃそりゃ〜・・・
そしてその「余る」とされている地域の特徴は、医大が設置されている医療圏。現在の医師数の調査でも上位に並んでいるのはこれら大学病院が設置されている地方都市ですが、この「大学病院にいる医師」を勤務医として定義するのもかなり乱暴なものです。更に言えば、そういう地方医大の最大の問題は大学に人が残らなくなっていること。「余る」とされている地域の一つになっている「鳥取県西部」ですが、各病院とも医師不足で喘いでおります。例えば脳卒中医療で言えば、市内の各病院から神経内科や脳外科医はいなくなっています。(救急がとれるのは2病院のみ)
ちなみにこの教授の主張に沿えば、「地方には医師が余るので、大都市部に勤務医を集中させろ!!」ということになるので、今の研修医制度で問題になっている研修医が都会に集中しすぎて困るというのは間違いで、もっと促進させろということになるのですが・・・
しかし、こんな人が出した統計数字だけを扱って、研究・調査としてこの先生はどこかから研究予算をもらっているのでしょうか?少なくともこの「余る」と主張されている二次医療圏の状況くらいは地元に出向いて確認した上でのものと信じたいのですが、もしも机上の計算のみでの調査なら・・・・もっと他の分野に予算を回してほしいなあ・・・