医局は医師の「派遣」をするところなのか?

 先日も和歌山のほうで、大学からの医師の派遣の見返りとしてお金を払ったり、医局秘書さんの人件費を負担していたとかいうのがニュースになっていました。こういったニュースの中で必ず出てくる言葉が、医局からの「医師の派遣」。
 いわゆる「医局人事」というやつで医者があちこちの病院に赴任しているのは事実ですし、いろんな病院外来や当直を行う非常勤の医師の多くも大学病院にお願いしているのが現実。一方で派遣業法によると「医師の派遣」は法的には違法。あくまで医局が行なっているのは医師の「紹介」であって、法的な意味での「派遣」ではないことになっています。
 にもかかわらず、この「派遣」という言葉が今でも使用されています。実際に行なっていることが法的にどうなのか、とかそういうことはグレーのままですが、マスコミの書き方を見ているとこの「医局による「派遣」」を「白い巨塔」的な巨悪の根源みたいな書き方や、「人事権と共に金を儲けようとしている」みたいなことを書く一方で、「医局からの医師の派遣」で僻地医療をなんとかするべき、みたいなことを書いたりもしています。人が行きたがらないところに送り込むということにかかるコスト、手間暇なんていうものはこの論議の中では出て来ません。
 この医局の派遣が困難になったのと前後していわゆる医師紹介業者が急成長してきています。彼等に支払う金額はかなりの高額になっているようです。同じ仕事をしている「業者」には多額の支出はしても「医局」には1円たりとも許さない、というのもなんだかなあ・・・なんて思ったり・・・