2年に一度の診療報酬改定は、本当に大きく医療機関の経営を左右します。基本的にどれだけの人間をそこに投入できるかで「質」が決定してくる種類の業種なうえ、その価格は全て公定価格として他人が決定するシステムですから、この実際にかかkる経費を無視した価格設定は本当に厳しいものとなります。公立病院の大半は補助金などの投入なしでは黒字になることさえ不可能な値付けですし、そういった損失補填さえ存在しない民間にとってはまさに死活問題となります。
先日から幾つかの急性期病院の地域連携関連の仕事をしている人と話をしていました。その時の話で、DPCの導入と共に入院期間が短縮され、病床稼働率が低下してきたので、上から「もう少し退院調整をゆっくりにして入院期間を伸ばせ・・・」とか言われるという話。そういう経営陣に限って病床が満杯になってくると「どうしてすぐに他の病院に転院させないんだ・・・」とか文句を言ってくるのは火を見るよりも明らかだったりします。
今、急性期を担う病院に要求されている平均在院日数は17-18日程度のようですが、おそらく近い将来には14日まで短縮されていくでしょう。2025年には一般急性期の平均入院期間は9日という数字を厚労省は出してきていますから、10年というスパンで考えれば、今のベッドコントロールの半分ということになります。そういう数字を叩き出していくには今からそれを見据えた体制づくり、意識改革が必要であるにもかかわらず、まさに目先のことに囚われている状態。自らがこれから目指している医療のスタイルを崩して今の利益に走るという考え方を変えなければ、明日はないと思うのですが・・・何をやろうと思っているのか、自分の目指す医療は何か、医師としての志はどこにあるのか。目の前の診療点数表に惑わされずに医療を行える医者を目指したいものです(と言いつつ、中医協を毎回チェックしている・・・)