中医協のリハビリ関連調査項目を見ていて・・・

先日の中医協での失態調査のお粗末さhttp://d.hatena.ne.jp/Toshikun/20110622 もなかなかのものでしたが、前回の診療報酬改定の影響調査として実施される「リハビリ関連」の調査項目も「なんだかな・・・」というものになっています。
その中でも一番のナンセンスな部分は「亜急性期病床」関連の調査項目。この調査項目は「回復期」の調査項目とよく似たものとなっています。この中で一番の問題は「亜急性期病床」の4月、5月、6月に入院した患者の「日常生活機能評価」点数を問う項目。
この「日常生活機能評価」なにが問題って患者の日常生活機能能力を測定するための評価法ではなく、「病棟で看護にどれだけ手間がかかるか」という視点で作られた評価方法だということなのですが(同じ項目を他の病棟で評価すると「看護必要度」という名前で呼ぶことになっている)、まあそれは100歩譲っておいたとしましょう。悪法も法なり、ということで回復期リハ入院料1を算定するためには全患者について入院時と退院時の「日常生活機能評価」を行うことが求められていますので、これらの病棟では確実に全ての患者についてのデータが測定されています。
一方亜急性期病床では、この「日常生活機能評価」はなんの役にも立ちません。一般病床でも7:1看護では必ず、10:1看護でも加算算定のためには「看護必要度」の毎日評価が必要とされていますので、このデータを使用すれば「一般病棟用の看護必要度」はわかります。しかし、回復期リハの「日常生活機能評価点数」はHCU用の「看護必要度B項目」になっていますので、一般病床用では評価項目が足りていないのです。つまり、何かの看護研究で「回復期と亜急性の患者層の類似点と相違点をさがそう」なんていうテーマで研究しているとかで、病棟の看護師さん全体の協力が得られたりする病院があればもしかすると測定できているかもしれませんが、そんな研究発表をまだ聞いたこともなかったりしますし。

この他にも「退院支援を行っているか」みたいな馬鹿馬鹿しい質問も。まったく退院支援を行わない回復期があるなら見てみたいものです。問題はその退院支援がどの位の割合で行われているのか、病棟に配置されているMSWが専従か専任か、他の仕事と兼務だったりしないか(病棟看護師が退院支援看護師を行っているといったものの他、介護士として夜勤もしながら、MSWをしているという想像を超えた世界の病院があることをつい先日知りました。)、病棟配属のMSWがこの1ヶ月にどれだけのケースワークを行ったのか、などを調べなければなんの意味もない(実態は把握できない)にも関わらず、です。

また、「合併症のある症例数」なる言葉も。高血圧の脳卒中患者は合併症ありですか?糖尿病で食事療法をしている人はどうでしょう?あるいは高脂血症で治療薬を服用している人は?他にも膝に変形性膝関節症のある患者は「合併症あり」なのでしょうか、それとも「なし」でしょうか?

今回の実態調査関連の失態は悪いのは、みずほ総研なのかその下請けなのか、わかりません。しかし、この杜撰な調査内容は厚労省のせいでしょうか、それとも「みずほ」のせいでしょうか?こういった杜撰なもので「前回診療報酬改定の調査」が行われるとすると、現場の人間としてはなにか馬鹿にされたような気分になります。