SUMMA Health Care System

 昨夜は雷とどろく雷雨でした。今日の視察先はSUMMA Health Systemというところ。アメリカの医療、保険情勢の問題点から病院経営の戦略まで大変興味深いお話でした。独自の経営戦略でずっとアメリカの病院ランキングでTop100に選ばれ続けているという話をお聞きしました。このお話の中で興味深かったのは、現在無保険や保険のカバー範囲が不足している患者さんが10%以上存在し、これらによる未払い額は年々増加し続けており、昨年は3100万ドル(30数億円)にのぼっているということ。映画「シッコ」にあるような無保険者をみないとかそういう事はやっていないので、これらの「赤字」部分は、収益事業や寄付などによって賄わなければならないということ。
 このお話の中で「経営を健全にしなければ、なにもすることはできない」という言葉がありました(多分こんな意味)。どんなに素晴らしい医療を提供しようと思っても、まずは財務が安定しなければ長続きしないという意味です。「良い医療だから赤字で当たり前」なのではなく、その赤字部分をどうするのかという視点をもった戦略がどうしても必要と言うことでした。

USNewsのランキングで上位に入っているという盾がならんでいました。

お昼ご飯その1 トマトとゴーダチーズのスープ

お昼ご飯その2 チキンとパスタ

食後にはこのSUMMAのCritical Care Centerを見学しました。
SUMMAと言う言葉は「Top]という意味だそうです。サミットとかと共通語源なんでしょう。自分たちの目標みたいなものを象徴的に表している名前です、と言っていたはず(通訳の人がいなくてちゃんと確かめられず・・・)

そしてこのセンターの名前の由来は、この病院に350万ドル以上の寄付をした夫妻の名前みたいです。この方以外にもたくさんの方が(出資)(寄付?)を行った方のリストが掲げられていました。
こういった多額の寄付が、病院の経営上は大変重要という話でした。



クリティカルケアセンターにて、各26床のCCU、外科ICU、内科ICUからなっているとのこと。当然、全室個室でさらに各部屋に端末があり、さらに2部屋ごとに室外にも端末があるという贅沢な端末体制。部屋の天井にはレールが走っていますが、これはリフトのためのもの。200kgオーバーもめずらしくないそうなので、これは患者の安全とスタッフの安全のために必要だとのこと。(説明して下さったかたもなかなか良い体格)

音声認識してくれるページャー(ポケベル)。「○○さんを呼んで」みたいなことをいうとその名前を機械が認識してその人のページャーをならしてくれます。応答がないとこいつが「応答がないけどもう一回呼ぶか?」とか聞いてきます。こういうオモチャは大好きです。

心肺蘇生の練習その他いろいろなことをさせてくれるシミュレーションの人形。この病院のオリジナル開発のものだとのこと。橈骨動脈、頸動脈、膝、足背動脈も全部触れます。ルートをとると血液(赤い液)の逆流がありますし、血圧もちゃんと測定できます(状態がわるくなると血圧が低下してくる)。挿管の練習もできますし、「気分が悪い」とか「胸が苦しい」とかしゃべってきたり、心停止と共に瞳孔が開いたりします。
よこにあるコントロール室からいろいろ操作できます。ビデオで見せて貰ったレジデントの練習風景は・・・もう少し勉強した方が良いよ!!とアドバイスしないといけないレベルでした・・・(ビデオで撮影して振り返りができるのは良いなと思いました。

次に見学したのはロボット手術システムのダビンチというもの。腹腔鏡とか胸腔鏡をリモートコントロールで操作する仕組みですね。ゴムのオモチャを手術用の針と糸で縫うというのに挑戦。

コントロール部分は人差し指と親指のピンチ動作がリアルにそのまま繁栄します。双眼の顕微鏡みたいなところを覗くと立体視が可能とのことでしたが、慣れなくて遠近感が全く掴めませんでした。オフポンプでのCABGとかを1,2cmほどの傷3個でアクセスして手術可能で、低侵襲手術が可能だといってましたが・・・なんとか糸を結ぼうとしましたが、断念・・・