廃用症候群をめぐるアレコレ

今回の診療報酬改定、リハビリテーション関連でもっとも大きなもののひとつが、「廃用症候群」の取り扱い。廃用症候群の点数が脳血管疾患リハの点数に組み込まれていたため、これまでは他の疾患別リハに比べると高い診療報酬となっていました。
これを悪用?して、何でもかんでも廃用症候群という形で診療報酬請求が一部の病院で行われたことも今回の改定の大きな原因となったことは間違いないようです。「大腿骨頚部骨折後の廃用症候群」とか「指の骨折後の廃用症候群」とか「胃瘻手術後の廃用症候群」なんていうものまであったと聞いています。これらをなくそうということで廃用症候群の点数は大きく引き下げられました。従来の235点から180点という大幅な引き下げで運動器リハと同じところまで点数が下がりました。
ここまでで済んでいれば、「点数下がったねえ・・・」だけで終わったのですが、廃用症候群としてリハが算定できるのは、「他の疾患別リハ」の算定ができるものを除く、という文章が追加されているので、例えば転院前に呼吸器リハを算定していれば、呼吸器リハ料を算定できる患者さんということになるでしょうし、心大血管リハ料を算定していれば、心大血管リハを算定可能な患者さんということになりそうです。
全国の回復期リハ病棟を持っている病院で心大血管リハの施設基準を持っているのは1割。他の疾患別リハ料と異なり、心大血管リハの施設基準をとるには循環器科か心臓外科の標榜が必須ですから、リハビリ専門病院の多くでは心大血管リハ料の施設基準をとることはできません。これまでに心臓外科術後の患者さんを何人か引き受けて、在宅復帰につなげてきましたが、この春からはそういう患者さんは通常の回復期リハ病院には転院することができなくなりそうです。
なんでもかんでも廃用症候群でとれるようにしろ、とは思いませんし、そういうバカなことをやったヤツがいたことで今回のような改定になったということも理解していますが、本当に回復期でのリハビリテーションを必要とするそういった患者さんに十分なリハビリが行われないということに大変大きな危惧を抱いています。