救急医療崩壊のローカルスペシャル番組を見ながら

今月初めから松江赤十字病院の救急センターの専門医がいなくなるという非常事態をきっかけに作られた地元TV局の特別番組。これを見逃すわけにはいかないと、録画予約をしたうえで、Liveで視聴。
まず、何よりもがっかりしたのは、追い詰められている現場の疲弊と比べて、それをサポートする側の当事者意識の希薄さ。この地域の救急医療が崩壊しかかっているのは、随分前からわかっていたこと。それを現場の頑張りにのみ依存している今の状況を放置し続けてきて、佐藤くんが辞めて救急医がいなくなるという状況に至るまでなんの対策も取らずにいた行政の無策ぶりが象徴的でした。これから休日診療所をつくるか検討を始めるとは。今の市長さん、随分長いこと市長をしている筈ですが。。。
風邪のなおりかけで救急外来にやってくる患者さんが番組で紹介されていましたが、自分自身も「イライラする」とか、「明日からディズニーに行くので・・・」とか「1週間前からお腹がいたい」とか、「子供のでべそが気になる」とか、想像を超えた「救急患者」を経験してきています。5年前に救急外来に一度来たことがあるということで「かかりつけは日赤です!!」と救急車でやってきた人もいたなあ・・・
かかりつけ医を持って、救急外来を軽症者で埋め尽くすような馬鹿な真似をしないようにする、というキャンペーンを松江日赤が行なっていますが、本来これは医療行政がおこなうべきこと。現場の医療者の使命感と努力に依拠してやるべき仕事をしなかったツケがここにあるのです。
さらには、「話があったので、これから検討します」と言い切る医師会長。少なくとも自分たちにも地域の医療を支える責務があるという言葉が何故言えないのか。そこにも今この地域の医療がおかれている状況をどうにかしようという意思が見えませんでした。