横浜市立大学の酢酸注入事故のニュース

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130501/CK2013050102000112.html
経管栄養チューブの詰まり予防に対して酢を使うことは広く行われていますが、この時に使用されるのは食用酢。これを希釈して1%程度の濃度でしようします。今回のミス、使用したのは日本薬局方の30%酢酸のようです。これを気持ち薄めた25%というのは、ほとんど細胞を凝固、固定するレベル。酢酸1モルは60gなので、4モル/Lを超える極めて高濃度の酢酸溶液をぶち込んだ計算になります。
今回の事故で気になるところが幾つか。
1.経鼻で使用されていた栄養チューブの詰まりに対して、チューブの交換ではなく、むりやり通そうとしたのか。食用酢は詰まりの予防に使うことはあっても詰まったチューブには使いません。
2.酢酸を用いたら良いという聞きかじりの中途半端な知識で医療行為をおこなってしまうこと。中学生レベルの理科の知識でこの酢酸の濃度は計算できますし、上記の詰まり予防の酢の濃度もググればすぐにわかります。
3.なぜ昨年からという長期にわたる経管栄養を経鼻のままとしていたか。これほど長期の経管栄養が必要な症例であればPEGあるいは腸瘻を選択すべきでしょう。

特に問題とすべきなのは1.でしょう。この患者以外でもこの方法を何度も試していることが記事からもうかがえます。この病院での経鼻チューブの留置期間はどれほどだったのか。

大学側の事故防止の取り組みも「今後は酢酸の使用を禁止する」というピント外れなもの。今回の事故の根本が分かってないのでは?
チューブが閉塞したら入れ替えするという基本に立ち返ることを明確に示さないと、また次のトラブルが起こると感じたニュースでした。

written by iHatenaSync