医療連携について深く考えている・・・

 このところ、医療連携がらみの仕事が続いています。回復期リハビリテーション病棟自体が、この医療連携なしには存在不可能な病棟なので日々の診療そのものが医療連携がらみということもできますが、地域医療連携関連の会議とか、病院間電子カルテ相互参照システム(おしどりネット)の報告会とか、「回復期と地域連携」というそのものずばりの講演資料作りとか。
 こんな状況なので、頭の中では「医療機関の連携とはいったい何か」とか、「その目指すべきものは何か」とか、そういう「そもそも論」みたいなことをずっと考えているわけなのですが、そういう中でひどく心を傷つけられた(大げさ?!)事件が。ある会議でおしどりネットについて話していた時のこと。他病院の電子カルテの情報を参照可能にするという話は全国各地で取り組まれていて、そのうちの鳥取大学バージョンがこのおしどりネットなのですが(すごく大雑把な説明だ・・・)、よその病院の電子カルテを見ることができるということにどういうメリットがあるのか?ということに疑問を持つ人はたくさんおられます。今度そういう事に関する「事例報告会がありますので・・・」というアナウンスをしただけのつもりだったのですが、ある急性期病院のエライ先生に「自分の病院にそういうものを入れても、自分たちにはなんのメリットもない」と言われてしまいました。どうやら自分たちは情報提供病院となる側なので、よその電子カルテを見るということは無いから情報共有のメリットを享受できないというのがこの「エライ先生」の主張のようでした。
しかしこの主張でいけば、逆紹介患者の診療情報提供書も脳卒中連携パスもその情報の大半は急性期病院から回復期・維持期の病院やかかりつけ医へ送られるものであり、「なんのメリットもない」ものということになります。自分たちが新たに何かを他から手に入れることのみをメリットと呼ぶのでしょうか。
医療機関の存在意義はその地域でより良い医療を提供し、地域に貢献することでなければならない筈。とすると医療連携というものの意義はその地域の医療機関単独で行なっているよりも優れた医療提供を行うことではないかと考えました。この医療連携で急性期から回復期・維持期に必要な情報を提供することで、自分たちの診療した患者さんの予後をより良いものにすることができないだろうか、ということです。経営的な視点から見てもその顧客満足度の向上(この場合の顧客はかかっている患者さんのみならず、紹介元や紹介先の医療機関介護施設も含みます)はその病院の評価の向上につながり、ベッド稼働率などにつながっていくものとなります。それがわからず、短期的な「損」「得」しか見えないのはいかがなものかと感じざるを得ません。
この「エライ先生」の地域医療連携に対する考え方にまったく賛同できず、反論してしまいましたが、どうもこちらの考えが全く分からないようで議論そのものが噛み合いませんでした。さらにこの反論のせいで会議が長引き、合唱部のホール練習が見に行けなくなるという悲惨な事態を自ら引き起こしてしまい・・・

この文章は怒り心頭で書き上げてから、最初に含まれていた不適切表現を大幅に削り、3日間、頭を冷やした上でアップしたものです。まだ不適切表現が残っている可能性がありますことをご了承ください。