H24診療報酬改定 回復期リハ

まあ、毎回の改定ごとにコロコロと変わる回復期リハ。今回はこれまでの2段階から3段階へ、これまでよりさらに厳しい上位基準が作られました。
前回の改定で回復期りは「1」が作られた時には2割ほどであったのが2年の間に8割以上が「1」を算定できるようになったので、(ようするにみんな頑張った・・・)さらにハードルを上げたわけです。
今回の改定のポイントは、人員配置基準+入院患者の基準の両方を満たすことが求められたこと。これは急性期病院の7:1看護でもこれまでより平均在院日数が短くされたり、重症の比率が1割から1割5分に引き上げられたり、ということが今回行われたのと同じ論理。
より重症の症例を、より充実した人員配置で治療し、より高い在宅復帰率を維持することが要件です。

回復期リハ病棟1の基準(人員配置)
医師 専任1名
看護師  13:1、正看護師比率7割以上、夜勤看護職員(正看+准看)2名以上
看護補助者 30:1
PT 専従3名
OT 専従2名
ST 専従1名
MSW 専任1名
当初言われていた(要望でリハ関連団体が出していた)リハ専門医または認定医の専従配置は、今回は見送られました。(かなり高いハードルとなる恐れがありました)
この中でリハスタッフの専従配置で難渋する病院はまずありえないはず。強いているなら整形外科専門の回復期リハ病棟ですが、そうであればこの「1」の入院患者さんの基準を満たせなくなると予想されます。

多くの病院が苦労する(これがネックでこの基準がクリアできない)のが、看護師配置。最低でも現在よりも3名から4名の増員が必要であり、さらに正看比率がこれまでの4割から7割に上げられることもツラい医療機関があると予想します。さらに夜勤は看護職員で2名以上ですから、単純に考えても夜勤のできる看護師さんを最低15〜16人確保しなければならないと計算されます。40床未満の病床数の回復期リハ病棟では、この部分が厳しいかもしれません(13:1を超える人員配置となり、人件費率が上がってしまう)

長年要望されていたMSWの配置も「専任」ではありますが、要件に組み込まれました。これまで、退院調整加算などで急性期病院や療養型病院では評価されつつあったMSW(社会福祉士)が活躍している場所の一つが回復期リハ病棟でしたので、これが今回評価されることになったのは本当に良かったと思います。また「専従」でなく、「専任」となったことで、退院後の在宅状況までフォローに入ることへの制約が少なくなったことも彼等の仕事内容が病院内だけでなく、地域との関わりが重要であることから見ても良かったのではないかとみています。

回復期リハ病棟の基準(入院患者要件)
重症患者(日常生活機能評価10点以上)比率 3割以上
一般病棟の重症度・看護必要度のA項目 1点以上 比率 1割5分以上
重症改善(重傷者のうち4点以上したもの) 3割以上
在宅復帰率 7割以上


従来の基準と比較すると
重症割合が2割から3割へ
医療必要度の指標であるA項目1点以上、1割5分が新設
重症改善はこれまでの3点以上改善したものの割合3割が4点以上改善が3割へ
在宅復帰率 6割以上が、7割以上へ

と全ての項目でハードルが少しずつ上げられています。一つ一つのクリアはそれほど困難というものではないですが、合わせ技としては効いてきそうな感じ。この「なんとか超えられそうな壁」という所がミソなのかもしれませんが・・・