そのうち死んじゃうよ・・・

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20120223_01.htm「焦点/あえぐ地域医療(1)疲弊/医師激務、心身限界に」より。
各所で話題になっているこの新聞記事。はっきり言ってこれは「犯罪」レベルです。もちろん「医師」側でなく、使用者である「県」が。
 週に4日の当直、当直直後に30km以上、1時間の運転で次の仕事場に・・・どう考えても「アウト」でしょう。かつて鳥取大学の大学院の医師が当直明けでバイトに行く途中で交通事故で亡くなったことがありました。彼に課せられている業務はそれに匹敵するものです。震災直後の極限状態で過酷な勤務状態になることは、医師としてどうにも逃れられない職業上の義務ということができたとしても、震災からすでに1年近くが経過した中で、このような労働環境を若い医師に強いておいて「医師がいなくなる」「より良い環境を目指す、志の低い若者ばかりだ・・・」みたいな論議を行う行政や有識者という名前の「無識者」たちには怒りさえ覚えます。彼の過労をどうすれば軽減できるかという観点がない時点でこの病院に医師を派遣する医局は無いですし、ムリに派遣すれば医局を辞めていくでしょう。

 さらに記事の後半、田老診療所の医師を月に1回の休みでこき使っている状態の異常な医療体制の診療所の医師数は充足していると答弁した市議会議員と市長の元で(H22年の定例市議会の答弁の中で)仕事はできないなあ、というのが率直な感想です。
 この議員の意見を見ていると(ネット上で閲覧可能)、県が奨学金で地元に縛り付けている医師が義務年限後、地元に残るとは限らない(そりゃ、こんな仕事のさせ方したら残らんでしょ。。。)ので、市で独自の奨学金制度を作ろうという話。この診療所勤務の医師の待遇を改善して医師が残るようにしようという発想はまったく見えません。

この二つの事例、被災地が大変、という問題ではないのです。実際この市議会は震災の起こる1年前、一昨年の2月25日に開催されています。震災復興という言葉の下で、かき消されそうになっている現場の悲鳴が聞こえているのでしょうか。