中医協の資料を読みながら・・・その3

かかりつけ医部分について。
前回は入院と外来を分けて改定率が発表され、医科の上昇分のほとんどは入院医療に持っていかれた形になりましたが、今回はそういった縛りはなし。薬価を下げた分だけ上げる医療の本体部分ですが、今回も「救急」、「外科」、「産科」といった前回と同様の部分を重点項目として挙げていますので、流れとして前回上がらなかったから今回は外来が・・・とはならないのではと予想しています。今回の中医協の資料を見ていてもいわゆるクリニックの外来に関する論議はほとんど見られなかった(少なくとも注目される論点とはなっていなかった)ようです。
だから、開業医にとって今回の改定はまったく関係ないというわけではありません。今後を見据えていくなかで、注目すべき部分がいくつか。
1.大学病院、高度急性期病院の外来制限
2.在宅医療の推進
3.サ高住関連

1.前回から勤務医の負担軽減というのが一つのキーワード。これをすれば加算みたいなものがいろいろありますが、そのうちの1つとしてこの負担軽減策が挙げられていますが、実感として楽になったと、アンケートに答えたのは少数派。今回は一番負担感が強いとされているこのやたらと多い外来に対してメスを入れてくる気配です。これは直接には開業医には無関係ですが、この大学が抱え続けてきた外来を「減らす」という形となりますから、周囲のクリニックなどへの逆紹介が増えることは確実です。ここで実数としての受診者を増やせるか否かが注目となるでしょう。連携パスもこれまで算定可能となっていた脳卒中、大腿骨頚部骨折以外の疾患についても認めるとの文言がありましたが、いったいどの程度のものを整備すればOKなのかがまだ不明です。

2.在宅支援診療所関連での論議がかなり行われていました。今後確実に増加すると予想される在宅でのターミナルや死亡に対応するシステムとして、今よりも緩い基準が制度としてできるかどうかが要注目。どのくらいまで踏み込むのか、とことんやるのか、それともまったく行わないでいくのか(そういった事へのネガティブキャンペーンが今後行われるリスクは意識しないといけないかも)、経営的な判断を要求されるかもしれません。

3.これまで会った特定施設とか、高優賃とかはほとんど同じような人々を対象にしつつも、所轄官庁が異なるとかいうことでいろんな規制がことなっていたりと愚かなことが行われてきました。
先日お聞きした話では、自分のクリニックの横にこの高齢者向けの賃貸住宅を整備してそこへの往診(施設への往診については前回大きく下がったのを、今度は少々引き上げるとか・・・)で安定収入を得るんだそうで。。。

これまでと同じ医療を行なっていることでの上がった下がったはもうナンセンスな時代。変わっていく時代に対応してくことがクリニックにも求められていくのでしょう。