適切な後期研修医療機関は?

「しまねのひと:公立邑智病院の常勤内科医に赴任、坪井博文さん /島根」
http://mainichi.jp/area/shimane/news/20110417ddlk32070292000c.htmlより。
26才、卒後3年目。いわゆる初期研修を終わったばかりの医者が田舎の病院で「総合医」を目指すという「美談」を記事にしたのでしょうか。
僕らの研修医時代と異なり(あのころは野蛮だったともいえますが・・・)、現在の研修制度の中では実質ポリクリの延長のような研修しか受けられないこともあります。医者になって3年目、初期研修で一通りの診療科を回って上級医の指示監督下で医療行為を行えていたことを自分の力と誤解して地域に求められている「総合医」に自分がなれるという幻想の中に彼がいるのではないかと心配しています。
さらにこの病院のホームページをチェックしてみると内科医は彼以外に、H15卒が最年長であとはH17,H19のわずかに3人。総合医としての幅広い知識や経験を彼が盗み取ることのできる環境だとは残念ながら思えません・・・。

ちなみに「専門は脳神経内科」と彼が言ったような記事になっていますが、これはきっと某変態新聞記者の捏造だと信じています。初期研修終了直後に「専門!!」とか言い切ったら神経内科の本物の専門医の先生が怒るでしょう。(せいぜい将来は神経内科を目指したいくらいのことを言ったんだと思いますが・・・)

3年目の「総合医」を目指す研修医療機関として、この規模の地域の医療機関が本当に適切なのか、その上級指導医はどういった医師であるべきなのか、その指導体制をどう整備するのか、本当にこういった「総合医」なるものが今後の日本の医療の救世主と考えるのであれば、真剣にそのシステムを考えるべきではないかと考えます。