主治医の誇り?それとも義務?

 かつて僕が研修医が終わり、自分の専門を何にしようかと考えていたころ、「膠原病を診る医者は全身を診られるようにならなければならない。すべてを診られることが膠原病専門医の魅力」と言ってこの道に誘われました。膠原病は全身の全ての臓器に多彩な症状が出るため、最低でもそれを一通りチェックして、専門診療科にコンサルトできないとダメ、という意味です。
 そもそも、その前に卑しくも「主治医」と名乗るのであれば、その治療のトータルのコントロールをするのが「主治医」のお仕事の筈なのですが、つい先日、ある患者さんに対する某大学病院の対応で???っていう感じになりました。その患者さんのリハ入院中にパーキンソン症状があるので薬を追加したこと、10年以上にわたり大学病院の外来で診察されていて(家族によると前から歩きが悪かった)今後も大学病院でフォローアップを希望されていること、専門医の診察が必要と考えられるので、大学の神経内科に診てもらってはいかがか?ということ。そういったことを診療情報提供書に書いてもたせたのですが、自分の専門外の症状なので、僕から直接神経内科しろという、超上から目線の返事がFAXで送られてきました。患者の全身管理をしない「膠原病専門医」なんていうものが存在することにちょっと感動。自分の患者に関するコンサルテーションをするのは主治医の仕事という僕の考えは間違っているのかなあ・・・。自分の知らないところでほかの医者が自分の病院のほかの科へ紹介していたとしたら、そのほうが余程腹が立つというか気分が悪いと思うのですが。医者が診ているのは「病気」ではなく、その病気にかかっている「患者」でなければならないはずなのに、どんどん歩きがおかしくなっていることに気がつかず、「自分の」範囲の処方だけします。といって膠原病治療関係の薬はひとつも出していない処方内容にため息をつきつつ・・・
 なんちゃって膠原病やさんの愚痴でした。