外科医不足の記事の論理の破綻。

 今、外科医不足が大きく取りざたされています。その中の大きな意見として、「きつくてしんどい診療科をいやがるから・・・」というものがあります。「近頃のわかいもんは・・・」みたいなヤツです。しかし、今田舎の病院に派遣されている若い外科医が田舎の病院を逃げ出すのは「きつくてしんどいから」では無く、「症例がないから」なのです。
 少なくともその「きつくてしんどい」診療科を選んだ医者にとっては、「きつくてしんどい」ことよりも自分のやりたい(自分の腕が磨くことができる)医療現場を望んでいます。
 今回問題となった大田市立病院の場合、内科がすでに崩壊しています。消化器内科医が存在せず、外科手術症例が無いことが容易に予想されます。こういった病院にやる気があって、頑張ろうという医者がくるのか?という視点がこれらの医師不足論議には欠けています。
 今回の外科医師不足の対策としてまたぞろ出てくるのが、「強制配置論」ですが、こういうやる気のある医者を手術のできない環境に追いやれば、本来彼等が手術することで助かるはずだった命が救えなくなるということについて、この強制配置論者はどう答えるのでしょうか?