病院間連携を考える

 ある患者さんが転院してこられました。入院相談の時点で紹介状(診療情報提供書)をいただいているので、新たに文書がないのはよくあること。しかし、薬の情報はまったくないにもかかわらず、紹介状には無い薬をもって来られ、紹介状に書いてあった薬は全く持たず。食事は何を食べていたのか、基本動作の介助状況、日常生活動作の介助状況、など基本的申し送り情報も皆無というすばらしい看護サマリーという名の電子カルテからの印刷物とこれもまた、麻痺の有無も関節可動域もMMTも基本動作の介助方法も実際の訓練内容も何も書かれていないリハビリ連絡票なる紙だけがやってきました。この患者さん、5日間くらい便秘が続いていたとのこと。リハビリ入院最初の処置は浣腸、摘便でした。転院した日の昼食後に薬を飲む必要があるのか無いのかさえ分からないというすさまじい状態での転院でした。あまりの仕打ちに怒りの電話をかけてしまいました。
 
 病院間連携、地域連携があれこれ言われ、連携パスなんていうものが生まれてきていますが、根源的なものとして患者さんをどうやって治療してきたか、今後問題となることは何か、こういった情報も何もなしで紹介してくる時点で連携しようという気持ちは全くないのではないかと思ってしまいます。いつも患者さんを紹介してくださる神経内科や脳外科では看護師さんの情報もこういう基本的情報が抜けることは減ってきていますが、リハビリサマリーの内容の乏しさはこのところどんどんエスカレートしている気がします。
 自分の受け持った患者さんがちょっとでも良くなってもらいたい、ちょっとでも良い生活が出来るようにしたい、という気持ちがサマリーから伝わってくるような紹介状を受け取りたいし、自分も次へ繋がる紹介状を書かなければならないと思った出来事でした。