ローカルニュース・・・

 仕事帰りにニュース(TSKの)を聞いていると、今日の特集で取り上げられたのは鳥大救急医退職の話題。気になったのは、この原因を「新臨床研修制度」に求めていること。救急医療を研修医の丁稚奉公で成り立たせていること自体に問題があることを理解していないのではないでしょうか。
 かつて研修医は院内にいるどの人よりも人件費のかからないお手軽な存在でした。どれだけこき使っても日当6000円、任期は1日で3月30日まで自動延長、時間外手当、休日手当も当然無し、時間外の検査、X線撮影、患者搬送も全て研修医のシゴトでした。それが一番安く付いたからです。本来これが医師がするべき仕事ではないことをする人間が居なくなったとき、このシステムは崩壊しました。しかしこれは崩壊するべきシステムではなかったでしょうか。現在行われている臨床研修制度で研修医がどう育ったのかについて厳しく検証する必要があります。実際その研修内容の中には保健所で遊んでる時期とかポリクリの延長みたいな無駄が存在していると感じていますし、これらを修正する必要があるとは思います。しかし、ただ働きする丁稚がいなくなって上手く回らなくなった大学があるからこの制度はダメみたいな安易なニュースが氾濫しているのを見ると悲しくなります。
 例えば、このニュースの中でも取り上げられた電子カルテ。昔ThinkPadを売っていたコンピュータやさんが導入したシステムだった筈です。少なくとも救急医療現場で使い物になるようなものではないです。(これは某富士通のシステムも同様)これをなんとかできるようなシステム運用を考える必要がありますが、それにエネルギーを使わないとコンピュータ入力係に医者を一人貼り付けるというお馬鹿なことになります。はっきりいってこれらの電子カルテは診察室に腰掛けて内科系の診療を行うようにしかできていません。先にCTやX線を紙や電話でオーダーできるような柔軟なシステム運用法、IDナンバーが付いていない救急患者にもすぐ対応できるようにするための運用法をきちんと用意していない机上の空論が現場の医者をボロボロにしていったのは間違いないでしょう。