回復期リハビリ病棟はそんなに簡単じゃないと思うのですが・・・

読売新聞、愛知県のニュース、「病床70減で改編へ 3年計画素案 医師は20人維持」http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aichi/news/20090131-OYT8T01009.htmという新城市民病院に関するニュースです。
 この新城市民病院は、医師不足からベッド稼働率低下し、赤字転落したという最近の標準的な公立病院なわけですが、この黒字化対策として回復期リハビリ病棟を開設するということのようです。
http://www.hospital.shinshiro.aichi.jp/index.cfm/1,2468,c,html/2468/20090128-163133.pdf新城市民病院改革プラン(素案)というものがあり、読むことが出来ます。地域には高齢者が多く、亜急性期の入院ニーズが高いという分析の元、自院の急性期病床からと地域の他の急性期病院からの受け入れでのベッドコントロールを考えておられるようです。現在この病院には脳外科のDrが1人、神経内科が2人、整形外科が1人おられるのみでリハビリテーション科の医師はいらっしゃいません。昨年の診療報酬の改定で確かに回復期リハビリテーション病棟の専従要件は無くなりましたが、実質専従に近い形で医師を配置しないとまともな回復期リハビリ病棟は回せないと思っています。これらのリハビリ関連の診療科のDrも毎日のように外来単位を持っておられますし、リハビリテーション病棟の運営に積極的に関与できるとはなかなか思いにくいのが現状でしょう。
 病棟が余ったからとか、平均在院日数が短縮できる(算定対象外病棟になるので)とかそういう安易な気持ちで回復期を作ると本来の「ADL改善」「在宅復帰」という目標とはかけ離れたものができあがります。
 この資料を読んでいくと、回復期病棟入院患者さん一人の一日あたりの収益を27100円と試算されていますが、1日1万1000円ほど土日も含めて毎日、リハビリテーションで売り上げる必要があります。今のリハビリの点数が続くという仮定での試算でしょうが、30人(試算での入院患者数)の患者さんにリハビリテーションをこれだけ提供するには1000万円ほどの一月のリハビリによる売り上げが必要です。この売り上げを出すにはすべてが脳血管リハであったとしても病棟専従で12人くらいのスタッフを18単位/日で働かせる必要があります。回復期以外にもリハビリの必要な患者さんがいますし、外来患者さんなんていうのもあるでしょう。さらには訪問リハビリを1000件/日で行うなんていうことも計画に上がっています。これも訪問リハビリスタッフが1から2名程度必要な数です。
 この病院のリハビリスタッフはわずか11人。施設基準ギリギリの人数です。どうやったって上の数のリハビリはこなせません。こういう「なんちゃって回復期リハビリテーション病棟」は・・・なにより患者さんのためにならないと思っています。回復期は赤字解消にちょうど良いなんていう簡単なもんじゃないよ・・・という回復期やさんのボヤキでした。