fNIRSのデモを楽しんだ1週間

 先週から1週間ほどの間、fNIRSのデモの機械を持って来てくださり、いろいろ見せていただきました。まだ手作り感のある機械で、簡単に自分たちで操作してみるなんていうことはできなかったのと、いったい何を測定しているのか(出てきた波形は脳の何を反映しているのか)わからないところがあったものの、障害された脳がリハビリテーションによって(自然治癒力によってなのかもしれませんが)、何かを変化させられるのでは?と考える上では良い体験をしました。今担当している若年の脳梗塞患者さん。右の内頸動脈の塞栓症でCT,MRI上では右の前頭、頭頂、側頭葉の広範な低信号域となっていますが、このfNIRSで計算や、語想起などの課題を与えるとあきらかにその課題のスタートと共にオキシヘモグロビンの値が上昇するのが見てとれます。さらに健側の上肢の運動時にもこの障害側に値の変化が起こることが観察されました。この変化をどう解釈するのが正しいのか、まだまだ難しいと思いました。特に最近、テレビが安易にこういったものを使って番組で流していますが、まだバラエティーで扱うのは危険だというのが感想です。
 しかし、「こちら側の脳はもう死んでいて役に立たない」というような説明を急性期病院で受けてきたこの患者さんやその家族にとってまだ「死んでいない」何かの反応を示しているという気持ちにさせてくれたのは間違いないかも知れません。脳梗塞で大きな障害を負った患者さんが努力して長い時間をかけて改善していくことを証明する手段として、けっして6ヶ月以上のリハビリは無駄ではないということの物証にできないかなあ・・・などと想像しながら眺めていました。
 残念ながら、明日京都へと戻っていってしまいます。値段がヒトケタ安くなったら買ってもらいやすいんですが・・・