救急医療で論議されるべきこと

 このところ、消防白書なるものについて、各地のブログで書かれています。年々救急車の受け入れが困難になって搬送時間が延びてきているということです。この白書のデータを眺めていて、一番疑問に思ったことはこの搬送時間と治療開始時間は異なるのではないか、ということです。今年アメリカに行かせてもらったときに循環器のDrが強調していたのがDoor to Needle time、Door to Baloon time(PCIのための針を刺すまでの時間、あるいはバルーンを膨らますまでの時間ということ)の短縮ということでした。救急隊にとっては、医師に受け取ってもらいさえすればもうお終いなのかも知れませんが、本当に重要なのは患者さんが発症してから冠動脈を広げるまでの時間がどれだけかかったのかということです。
 残念ながら日本の救急搬送には年間どれだけの心筋梗塞患者を搬送し、その治療にどれだけの時間がかかっているのか、そしてその治療成績、入院期間がどれだけなのか、などといったデータを見たことがありません。
 これは脳梗塞についても同様で、搬送された患者さんの最終的な診断名さえちゃんと把握している消防署がどれだけあるのでしょうか。そういう基礎データのないところで組まれている救急システムはまさに砂上の楼閣ではないかと考えます。

今度、救命救急士さんと飲む機会があったら(僕はお茶だけど)話してみよーっと。