平均値は決して代表値ではない。

日本人は「平均」が大好きです。いろんな統計でも「平均」でものを言います。しかしある集団を全体としてみる際にこの代表値として何をつかうことがもっとも有効であるかは場合によって違います。年収100万円の人が10人と1億円の人が1人いるという集団の「平均年収」は1000万円です。だからこの集団は1000万円稼いでいる集団と見なしていくことは大変危険です。その大部分が100万円の集団なのですから。集団の代表値としてはこの平均の他に中央値(メディアン)と最頻値(モード)があります。これらの方がその集団全体の状況をあらわす上でずっとふさわしいことはよくありますが、そういったことを理解できずに平均を使い続けるととても危険なことがあります。例えば日本人の平均貯蓄額は1400万円。そんなことを言われても大半の人はこんなに持っていない筈。まさに格差社会で平均値を使うことの愚かさの象徴的なデータです。(こんなのを発表するヤツ(お役所の人)のレベルの低さを象徴したデータです。)
東京新聞の記事「開業医の月収211万円 勤務医の1・6倍」http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007102601000224.htmlですが、これも「平均」でものを言っている恐ろしい例の一つ。http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071027新小児科医のつぶやきさんの記事にあるグラフを見ればわかるようにその大半は月収100万円まで。1000万円を超えるごくわずかな人々に引っ張られているだけなのです。
これを根拠に開業医はもうけ過ぎというのはかなり危険。今回の診療報酬改定で開業医の収入減となる改定を行えば、この大半のギリギリの経営の医院がバタバタいく筈。それは地域で支えている医師をツブすことになりかねません。こんなのを使って話し合いをして、お役人の言いなりになるのかな。