産婦人科を、救急医療をどうしたいのか?

今週、またあの奈良県でマスコミが騒いでいます。しかし、騒ぐべき方向性がおかしいのではないでしょうか?昨日朝のNHKのニュース番組では、「今週の出来事」みたいなコーナーでこの事件を取り上げていました。この中で、「搬送拒否」した病院として奈良県立医大を映し続けていましたが、その奈良県立医大のホームページhttp://www.naramed-u.ac.jp/~hp/を見ると、今回の事に関してその夜の産婦人科当直医の状況がpdfファイルでアップされています。いったい彼等にこれ以上何をしろ!!というのでしょう?この文章の最後を見ればわかるようにこのDr達はそのまま翌日の診療に突入しています。一人は代務先で再び24時間勤務ですよ!?奈良の産婦人科医が過労死するまでこのバッシングはつづくのでしょうか?だれかが犠牲になれば、またセンセーショナルに取り上げるのでしょう。夜中に流産歴のある38歳の女性が(しかも妊娠週数もわかっていない妊娠しているかもはっきりしていない)出血してるという救急搬送依頼に上位胎盤早期剥離術後患者や陣痛起こしてきている妊婦さん、破水して緊急入院した妊婦さん、さらには産後の大量出血の転院依頼をうけながら、さらにこの「妊娠かもしれない」女性を受け取れと言うのでしょうか?この女性を入院させたことで最後の大量出血の産後の患者さんの入院ができず、不幸にしてお亡くなりになったら、また無茶苦茶に叩くのではないですか?!
今回のニュースでも全く関係のない関連性といえば「奈良」「妊婦」というキーワードで1年前の大淀病院の患者さんの写真を出したり、彼女の「夫」にインタビューしたり、(今裁判中だから自分にちょっとでも有利になると思えば取材でもなんでも受けるんでしょう)発想のレベルの低さにあきれてしまいます。
人を結果論で責めるのは無茶苦茶簡単です。人の命を助けるために精一杯頑張っている医者は、一人でも助けられなくなればどーんと落ち込みます。本質をチェックもせず、誰かをスケープコートにして叩いていれば仕事になるTVのニュースのお気楽さにあきれる今日この頃。報道ステーションなんて毎回みたいに、「先ほどの○○は□□の間違いでした」なんてやってるけど、「結果責任」をとってテレビ朝日の社長かなんかが記者会見したとか聞かないなあ・・・この間の冤罪で懲役まで受けた人の捜査した警察官も求刑した検事も判決を下した裁判官もだれもTVに出てこず、「ごめんなさい」も言わないという素晴らしい「司法」の人たちに「業務上過失」なんて言う権利があるのだろうか?まったくの無罪の人が実名報道なんだから、こんな人権侵害の重罪を犯したヤツ(基本的人権の侵害という憲法違反でしょう)は当然、徹底的に叩いて実名報道をするべきでしょう。いったいNHK朝日新聞はなにをしているんだ!!!

全国ニュースではまったく取り上げられなくなっていますが、福島の大野病院の裁判が行われています。検察の取り調べの状況がでてきています。この裁判のやりとりというものが白日の下にさらされていますが、これを見ていると日本の裁判で「真実」を明らかにすることは不可能なのではないかということ。検察側はべつに真実を明らかにすることを目指しているのではなく、自分たちが有利になることだけを並べ、相手を陥れようとしているだけなんだということが実感されます。自分たちにとって都合のいいことをいう「癌」が専門の婦人科の医者に鑑定を依頼していたり、(帝王切開なんかしたこともないような医者が鑑定している)被告に有利になることがかかれている産婦人科の専門書の証拠採用を拒否したり(こういうことができるという時点で裁判そのものの価値が下がると思う。あらゆる文献を見た上で本質をチェックしなかったら意味がない。少なくとも研修医に教えるとき、調べられるだけの文献をチェックするように言っている。(頼むからイヤーノートと今日の治療指針だけでで診療するのは止めて欲しい))

私は大野病院の産婦人科医師、大淀病院産婦人科医師を支持します。
NHKも受診料を取っているなら、ちゃんと取材しろ!!