倚りかからず

国会が解散し、四分五裂し、離合集散し、昨日までミンシュだったのが、ジミンになったひともあれば、聞いたこともない名前の政党が次々と湧き出し、あっという間にそれが別の名前に変わったり。少しでも当選に有利になる方法を探してあがいているようにしか見えない。
昨日開かれた附中コンサートを聴きに行く事が出来なかった。昨年から続けていた附属中コーラス部追っかけ記録が途絶えてしまったのは少々ショックだったり。このコンサートでは、先日の組曲完成披露で初めて演奏された「倚りかからず」も歌われた。茨木のり子さんの人生最後の詩集の表題ともなっているこの詩。中学生が歌うこの歌を聴きながら、コッカイとかいうところで騒いでおられる人たちに是非聴いてもらいたいと思った。

  「倚りかからず」

 もはや
 できあいの思想には倚りかかりたくない 
 もはや
 できあいの宗教には倚りかかりたくない
 もはや
 できあいの学問には倚りかかりたくない
 もはや
 いかなる権威にも倚りかかりたくない
 ながく生きて
 心底学んだのはそれぐらい
 じぶんの耳目
 じぶんの二本足のみで立っていて
 なに不都合のことやある
 倚りかかるとすれば
 それは
 椅子の背もたれだけ



ついでにこの組曲の一番最初の作品(H22年委嘱作品)も


  「自分の感受性くらい」


ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ