糖質制限食について考える

かつて内科のお医者さんだったころだけでなく、リハビリやさんとなった今も「糖尿病」「肥満」は大きな問題として日頃の診療に立ちはだかってきました。内科研修をしているころは教育入院の患者さんを受け持ってああでもない、こうでもないと悩んでいましたし、膠原病を専門として治療していた大学院時代には山ほどのステロイドを服用させた患者さんの血糖コントロールに難渋していました。リハビリテーション科医として仕事をするようになってからも、糖尿病の合併症である血管障害に伴う各種疾患の患者さんがリハビリテーションを必要とすることもしばしば。入院食事箋の「糖尿病食」に◯をつける頻度は本当に高いです。
そして医者になって20年ちょっとの間にスクスクと横方向に成長した自分自身は、7年前からは高血圧まで。メタボとは自分のためにある言葉だと言い切れるような状況に対してどのような対処法を行うべきか、他人のことではなく自らのためにどのように行動すべきかという切実な問題となってきました。
そんな時にいつもチェックしている「新しい創傷治療」のHPで語られている「糖質制限」はどうだろうと思いつきました。湿潤治療のパイオニアとも言える夏井先生のHPでその過激な言い回しで敵も多いと言えますが、少なくとも創傷治療については、「エライ」形成外科の先生や「WOC」の看護師さんの言っていることよりも理路整然としていて、実際の臨床現場でも参考にすることで自分の患者さんたちの傷がしっかり治ることを経験していることもあり、自分で試すことから始めようと決心。
まずは「糖質制限」に関する本を買うことに。

満腹ダイエット (プレジデントムック dancyu)

満腹ダイエット (プレジデントムック dancyu)

いつものAmazonでこの2冊を購入。(基本、活字から入るのが僕のいつものパターン)
とりあえず、三食の主食を抜く所からスタート。一緒に通勤をクルマから汽車通勤へ変更。家から駅、駅から病院は歩くことに。仕事帰りに僕を誘惑していた「ローソン」や「ファミマ」での買い食いもストップしました。
途中、各種事情により、クルマで通勤しないといけなくなった時期があったり、子供たちの強い要求に屈してマクドに行ったこともあったりしましたが、3ヶ月で約15kgの減量。その後制限をゆるめましたが、(夏場のアイスクリームの誘惑に勝てなかった・・・)リバウンドもせずに体重はそのままゆっくり減少して81kgまで到達。
実体験からみてもウェイトコントロールのためには有効な手段であるといえそうです。

先週末の「報道特集」で取り上げられた際に、番組の中で語られていたことに「糖質制限食の長期成績」に関するものがありました。糖質制限食について2年間しかエビデンスがないということを強調しておられるのですが、ふと通常のカロリー制限食の長期成績はどうなんだろ・・・とか考えてしまいました。さらにはこのところ糖尿病専門医の先生方が頻用されるDPP-4阻害薬のデータはいろいろ見せてもらったのですが、長期予後に関するデータって全然見せてもらった記憶がなかったりします。これらの薬による血糖降下に関するものはたくさんありましたが。。。
一方で長期予後に対して批判しつつ、他方、自分たちが使う薬の長期予後については何も語らないというのはイマイチな気がしたり。先日、いわゆる「ラップ療法」を危険だと新聞紙上で大々的に報道させた某学会と同じ匂いを感じるのは僕だけではないと思うのですが・・・