医療費抑制も問題だけど、その前にやることもあるよ・・・

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3205_all.html
NHKクローズアップ現代の「もう病院で死ねない 〜医療費抑制の波紋〜」
いろんな所で話題になった(まあ、自分の周囲だけですが・・・)この番組。イマドキのクローズアップ現代は動画もコミでインターネットで過去の放送が見られるようになっているとは知りませんでした。これで見逃ししていてもダイジョーブ?!

さて、この番組の内容ですが、いくつかの厳しい現実が示されていますが、30分の短い番組では収まらないもっと深い課題がそこにはあります。そのうちの一つが急性期病院での過度な安静による廃用症候群。番組中盤で大腸がん術後の患者を連れて帰るように言われる娘さんとの面談の場面があります。「入院は歩いて入ってきてるんですよね、母は。手術したらまるっきり歩けなくなっちゃた、歩けなくするのが医学じゃない…」といっている娘さんの言葉はまさに真実です。歩けない状態にしてしまったことについて真剣に考える必要があります。ただ手術をして、ガンを取り除いて「寝たきり」となったのなら、その手術をすることは本当に正しかったのかについてもっと考えるべきでしょう。大腸がんの手術であれば、手術翌日には離床を図るべきです。その患者さんが80歳代ならなおさらです。元々歩けていた患者さんなら、歩行まで持っていける場合がほとんどです。
番組でこの事例の後に出てきた腎不全の男性もこの退院支援の看護師さんのすすめでリハビリが開始されたとのことですが、これは本来入院当初から主治医や受け持ちの看護師が独居老人の歩行困難についてアセスメントをしていなければならなかったことです。

うちの病院に「廃用症候群」でリハの依頼が来る中には、「ストマ閉鎖術」で寝たきりになった、とか「鼠径ヘルニア」の術後で・・・とか想像を超えた紹介も。回復期リハのベッドをこういうことで浪費するのはどうかなあ・・・なんて感じています。
医療費抑制を問題視する前にやるべきことがあるなあ・・・と思った一人のリハ医の戯言でした。。。