絵に描いた餅

「被災3県の全仮設住宅群に診療所 厚労省」というニュース。http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011050801000644.htmlより。
こういうのを絵に描いた餅というのだなあ・・・というのが第一印象です。この仮設診療所で行われる医療行為はどういう形で診療請求がされるのでしょう。現在全国の日赤や医師会から応援に入っている医師・看護師の人件費は全て派遣元の医療機関が負担しています。さらにはその往復の旅費、何かトラブルのあったときの保険など全てです。記事によると「仮設診療所約30カ所の建設費として約10億円を計上」とのことですが、日本の医療機関の運営コストの半分以上が人件費です。その部分をどう捻出するのか、診療所で診療費を請求していくとすれば、医事会計やその他の経理はどうやって誰が行うのか、当面必要な医療機器薬品はどうするのでしょうか。1週間から1ヶ月といったスパンで交代していく医師・看護師は、初診を中心とした一次救急医療を行うことは何とかなっても、慢性疾患をきちんとフォローアップしていくことにはまったく向きませんが、そこの人数だけあっていれば良いといういかにもお役人的な発想ではないでしょうか。
 現在全国から入っている医療スタッフは1100人とのことです。「厚労省では「今後数年は現在の応援人員ぐらいは必要」」と言っているそうです。しかし今後も1000人の支援が必要というのは簡単ですが、そんなに簡単に1000人の医療スタッフが全国からわいてくるのであれば、「医療崩壊」なんて起こっていない筈。そんなことも分からない人たちが政策決定をしていると言うこと自体に恐ろしさを感じてしまいます。