医療者と非医療者の心の壁は厚い

「「医療の質」の調査、いまだ先が見えず」というロハスメディカルの記事。http://lohasmedical.jp/news/2010/07/20013427.phpより。
医療の質と言われたとき、医者はあくまで治療成績が良いか否か、が医療の質の中心だと信じています。そういう意味で日本の医療について真に治療成績について質が問われたことはほとんど無いと言って良いと思います。なんと言っても一番最初に導入されたのが回復期リハ病棟の「在宅復帰率」と「重症受け入れ比率」ですから。
その意味で嘉山孝正先生(国立がん研究センター理事長)が主張する「クリニカルリサーチが非常に日本は落ちている」という主張にはいろんな意味で頷ける物があります。もっともその原因はDPCではないと思っています。臨床現場への経済的な締め付けや合併症までも医療ミスと主張するキチガイじみた裁判などいろんなものが複合的に関与していると言ってよいでしょう。DPCはあくまで疾患の分類です。

「嘉山委員は、「日本の国民が、医療の質というのは患者満足度と誤解しているところがあると思う。患者満足度は医療の質ではない」と発言。」
「遠藤会長が「医療の質の評価に患者満足度はないというのは言い過ぎ。医療の評価の中の1つに間違いなく患者満足度があるというのは学界の定説」と反論」
この学界というのはどういう人たちのことなのか、ということや元となった文献などを見せてもらいつつ、「医療の質」をどのようにしてベンチマーキングするのか、ということを考えていかなければならないでしょう。

こういった「質」を測るモノサシを確立する前に「実験材料」の様に「試行的」に導入され、科学的に評価することなく、そのまま「拡大されていく」リハビリ病棟の「質の評価」に危惧を感じつつ・・・