大田市立病院は回復期を担うことが可能か

外科医に続き、整形外科も撤退が決まった大田市立病院。「出雲圏域医療会議:回復期の患者“受け皿”懸念 /島根」http://mainichi.jp/area/shimane/news/20100303ddlk32040615000c.htmlより。救急患者は県立中央病院とか大学病院が受け入れるけれどその後の「回復期」患者をどうやって受け入れるかが課題というニュースです。この記事で「回復リハビリテーション病棟については、55床の療養病棟を転用することも含め、検討したい」と院長先生が言っているとのことですが、今回の診療報酬改定で回復期リハ料算定には平均2単位/日のリハビリ実施が義務化されることになりました。この平均2単位は平日のみではなく、休日も含めて2単位以上という意味とのこと(本日の研修会での石川先生の講演より)ですから、週に14単位以上を全回復期入院患者に実施する必要があるということ。この最低限のリハ実施を55床のリハビリ病棟で行うためには9人のリハスタッフが必要となります。「この病棟だけで」です。この大田市立病院には16人のリハビリスタッフがおられるようですが、この数は通所リハビリや訪問リハビリ担当スタッフも含めた人数です。仮にこれらに3人分の人員がとられると残りは4人。しかし、外来や一般病棟患者のリハビリもあるはずです。これをこの残りの人員でさばけるのでしょうか。こういった基本的な人員確保なしに安易に「回復期リハ病棟を作る」と言ってしまうのは・・・厳密なシミュレーションの実施をするべきでしょう。そもそも救急で出雲部に行くことになる患者のどれだけが「回復期」に入ることができる症例なのかについても十分考えていく必要があるのですが、おそらくこれもいい加減なままでしょう。

今日のリハビリテーション病院施設協会の研修会には島根県の健康福祉課の方も来られていました。ちょっとだけお話しましたが、島根にはまだ今回新設された「休日加算」算定可能な回復期は無いとのこと。まだまだ前途多難な印象です。