需給のミスマッチなのか

山陰中央新報の記事「島根県西部医師不足加速、常勤医4病院15人減」http://www.sanin-chuo.co.jp/health/modules/news/article.php?storyid=518016075より。
島根県は東西に細長い県です。誰も知らない?!島根県民の歌「薄紫の山脈(やまなみ)」の歌詞でも「磯風清き六十里」と歌われています。http://www.pref.shimane.lg.jp/kochokoho/kenka/
県内の医師は県庁所在地の松江と大学と県立中央病院を持つ出雲に集中しており、(2次医療圏ごとの人口10万人あたりの医師数ではトップクラス)県西部は元から医師数が不足している地域なのですが、さらに減少していっているというのが現在の状況です。こういった中での発言として、「益田医師会の狩野稔久院長は「大学は地域医療を担う『総合医』を育てるカリキュラムにシフトすべき」と提言。」したとのこと。しかし、そういう「総合医」なるものを「大学病院」といういわゆる特殊な疾患の治療を行うことを求められる医療機関でどうやって育てるのでしょうか?
さらに「島根県自治医大卒医師が地元に残らない原因は彼らに「専門医」としてのキャリアパスを提供できていないこと」であるという論議がなされていると聞いています。もしも島根大学が「総合医」という方向に舵を切ると「専門医」を目指すことができなくなってしまう島根にはいっそう医師が残らなくなるという可能性について検討できていないのではないでしょうか?
さらに「浅く広い」知識の医師ではなく、「その道のスペシャリスト」が求められているという現実があります。研修医は自分のキャリアパスについて真剣に考えています。だからこそ魅力のない「大学医局」に医師が残らなくなったわけです。そういった現実を無視した短絡的な発想はさらなる悲劇を生み出すかもしれません・・・