病院建築費を考える

コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?

コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?

という本。「高くていかにも儲かりそうな大トロよりもコハダのほうが何故儲かるのか」という解説の本ではなく、会計、企業経営に関しての比喩として使われています。
 この中で出てくる一等地に建てられた洋服屋さんの直営店についての「価値」の判断方法が興味深いものでした。資産は、事業を行いお金を生み出していくための「機械」であり、その価値はそれが生み出す「利益=お金」であるというもの。
 病院の建築費を考えてみると興味深いものがあります。例えばトータル200億で作られた病院には200億の価値があるか否かは、その施設が生み出す価値によって測られるということです。その病院がかりに40年間使用可能で、その間メンテナンスにいっさいコストがかからなかったという現実にはほとんどあり得ない家庭をしたとしても毎年5億円の利益を生み出す必要があります。これが30年しか持たないのであれば(例えば僕の前職場の病棟は約30年で建て替えになりました)6億7千万円の利益が必要です。この5億という数字ははそう容易く稼ぎだされる額ではないのは明らかで、仮に利益率が5%で100億円、3%だったら167億の売り上げが必要となります。ちなみに某(僕の住んでいる)市立病院の昨年の総医業収入は80億、医業費用は94億・・・だそうです・・・。その差額とほぼ同額が減価償却費。高い建設コストが足を引っ張っているのかなあ・・・などと思いつつ公営企業決算を眺めておりました。