遅ればせながら、点滴作り置き問題。

 まずこの事件でお亡くなりになられた患者さんのご冥福をお祈りします。
 アメリカに出かけている間に、秋葉原の通り魔事件、東北の大地震と大きな事件が起こりました。医療関係としてもっとも大きく取り上げられたものが、この点滴作り置きでの患者さん死亡事件です。セラチアが血液中から確認されたと言うことですから、その点滴がもっとも疑われます。しかし、この事件の本質的問題はその整形外科医院で1日に300人もの患者さんを「診察」していた、ということでしょう。整形外科の患者さんの大半はお年寄りで、膝や腰が悪い人ばかりです。診察室の出入りがさっと出来る人なんて少ないはずです。1日300人診察するとしたら一人あたりの診察時間は1分半。はっきりいって無理。法律で禁止されている「無診投薬」をしているとしか考えられません。
 そもそも、1日に100人の患者に点滴をし、300人の患者を診ているという時点で、なぜ社会保険事務局は監査に入らないんでしょう?ちゃんとした医療をやっていても「これは必要ない」だとか「過剰な診療だ」とかいって削りまくるひとたちが、この病院のこの異常な状況を放置していたのは何故なんでしょうか?
 外来管理加算により、1日に診療できる患者数を実質制限するのか?!みたいな抗議がありましたが、まともに診察できる数以上は診ないという強い気持ちが必要な時代なのではないでしょうか?逆に言えば、たくさん診なくても診察できる
 みずから「野戦病院のような病院」と院長がテレビで言われていましたが、このような状況が平時で許される訳がない、ということが麻痺してしまったのでしょうか?