フィブリン糊での肝炎感染か、輸血後感染か?

読売新聞の記事「手術の「フィブリン糊」原因、都内病院で57人が肝炎感染」http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080113it01.htmより。
このフィブリン糊での肝炎感染でのリスクは当然ありますが、1980年から89年の心臓外科手術が対象となっているようです。おそらくかなりの頻度で輸血が行われていると思います。C型肝炎の検査をできるようになったのは平成元年1989年です。僕が学生の頃にはNonA,NonBと呼ばれていました。逆に言うと輸血用に献血された血液がスクリーニングされるようになったのはこの後からです。ですからこれらの肝炎発生者のうちの何割かは輸血によるものの可能性が否定できません。逆に言うと賠償金はともかく、これらの輸血後肝炎患者についてもなんらかの医療費補助の対象となるようにすることが、将来まで含めた重要な肝臓癌対策のはずです。

 しかし腹立たしいのは、すくなくともこのフィブリノーゲンがHCVで汚染されていたか否かについて、まだ証拠が残っている時期ではなく、この20年も経過してから調べようとしていること。あの頃に在庫として残っている製剤をチェックするなどすればもっとしっかりと調べることができたはずなのに。