医師は「不足」じゃなくて「偏在」なんでしょ?!

医学部に地域勤務枠…全国250人、授業料を免除http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070513ik01.htm?from=os2
僕が医学部に入った時、それは日本でもっとも医学部定員の多かった時代でした。その数は8400人だったとか。今は7000人あまりで1300人以上も減っています。この定員減が始まったのが確か平成2年ごろ。ちょうど僕が医者になった年でした。つまり僕より6歳下=35歳くらいの世代から医者の養成数が減ったのです。新研修制度が原因だと騒がれていますが、これは大きな間違いでしょう。一番バリバリ働くことのできる30過ぎの医者が減ったのです。僕等の世代の医者が抜けていく分の医師の絶対数が足りないのです。40過ぎると確実に体力は落ちます。すでに不足し、崩壊の危機が目の前に来ていたのをなんとか踏ん張っていたのが、後方からの補給が絶たれて一気に倒れることになったというのが実情でしょう。今回の地域枠制度で、まるですぐに医者が足りてくるようなことを政治家の方々は言っておられます。(参議院選挙の票はすぐに増えるのかもしれませんが)医学部を卒業するのに6年、研修医が2年。これだけで8年かかります。このところ話題の「総合医」なるものとして本当に実力を発揮できるのには(制度を作ると翌年からこの「総合医」ができると思っているところが怖い)さらに長期間が必要となります。まさにこの失われた時代(平成に入ってからの医学部定員削減時代)がもたらした失政ということを厚生労働省と政府が認め、反省し、「ごめんなさい」することからはじめて欲しいなあ。しかし「(各県で毎年)5人ずつ増やせば、へき地での医師不足は間違いなく解消する」って本気で思っています?たとえば人口10万人あたりの医師数が全国平均より40人とか少ない青森県では全国平均に持っていくだけでも(人口140万くらいだから、560人不足)100年以上かかるんですが・・・なんか、計算するのも馬鹿馬鹿しくなってしまいます。こんなすぐにわかる「ウソ」をそのまま大本営発表みたいに記事にしてしまう(自分の記事の中に書いてある数字での計算もしていないのは「文系」の記者さんはかけ算ができないからですか?)のは、ある意味学級新聞以下だと感じてしまいました。上に書いた「番外編」とともにいわゆる「ジャーナリスト」としての誇りが感じられないと思うのは僕だけではないはず。