復学を拒むもの

 いつも勉強させていただいているid:zundamoon07先生のブログ「リハ医の独白」で続いている車椅子少女の就学拒否問題。これまで何人かの中学生&高校生のリハビリと復学で苦労してきたことを一つずつ思い出しました。

 一番嫌な思いをしたのは、我が母校。ギランバレーの重症型。いろんなアイディアを出しましたが、そのほとんどを拒否。歩けるようになって戻ってこいといわんばかりの態度でした。その子は結局2年留年して卒業しました。
 この子の復学後一番腹が立ったのは、ある雪の日、両松葉杖歩行レベルのその子が高校へ続く坂の下で呆然と立っていました。心ない教師に学校玄関めでクルマで送迎するなと止められ、坂の下でクルマを降ろされてしまっていました。両松葉杖の子がどうやって圧雪の坂道を登ることができるのか、とその立ちすくんだ姿を見たときには怒りとか悲しさとかいろんなものを感じました。想像力のかけらもない「進学率」「合格率」ばかりを気にする「教育者」なんて・・・
 たまたま我が家の目の前で、歩いて病院に向かおうとしていたところだったので、我が家のガレージからクルマを出して、玄関前までクルマで積んで登りました。

 交通事故による頭部外傷で入院した中学生のケース。5月に事故に遭い、もうダメかな・・・という所から奇跡的に(やっぱり子供はスゴイ)復活してくれて、夏休み明けには介助歩行ができるまでに。2学期からの復帰へ向け、彼の教室前の階段には手すりを設置し、教室間移動時は同級生と副担任の先生が付き添ってくれるように手配してくださり、無事もとのクラスに復帰。我が母校との差に唖然。当初は高次脳機能障害で記憶も一桁の計算も書字もダメという状態でしたが、そのクラスに守ってもらいながら復活しました。その間、ご家族もできるだけのサポートをしてくださったおかげもあって翌年は高校受験して無事進学。

 ギランバレーで高校3年の夏から入院した子。なんとか室内掴まり歩行レベルまで改善したものの、卒業までの単位がギリギリの状態に。高校の先生と一緒に卒業に必要な単位を計算し、それに合わせて病院から通学し、階段は同じクラスのサッカー部と野球部の男子がかついでくれました。(本人はこれはあんまり嬉しくなかったみたいでしたが)トイレは直前に偶然洋式トイレへの改修がされており、手すり設置のみでなんとかなりました。(生まれて初めて高校の女子トイレに入りました。)その後順調に回復し、普通に通学できるまでに。当初予定していた推薦入学は試験が受けられなかったものの一般入試で短大に進学。保育士さんを目指すとのこと。卒業式の翌日、病院まで挨拶に来てくれました。

 母校と他の2校の一番の違いは、担任の先生だけでなく、周囲の先生方も含め、その生徒のためになんとかならないかと病院と話し合ってくださったことでした。(学校まで訪ねてくる医者は初めてだと言われてしまいました。これは一例目が僕のトラウマになっているせいかもしれません)

 今日、「自由」という名の下に「コイズミ」さんとか「タケナカ」さんが行った改革で、こういう非効率的な事象がないがしろにされるようになったと思います。別に誰か一人のためにカネをじゃぶじゃぶ使え、とは思いません。その一人を救うために、今ある資源をどうにか活用できないかと知恵を絞ることさえも拒否しているのでは無いかと思います。少なくとも「ハコモノ」を作る以外にもそれを乗り切るためのアイデアを出そうという努力しようよ!!と強く思いました。